デンタルタニザワ 復活への道
水害を乗り越えて再オープンするまでの真相にジモア編集部が迫る!
あの日、クリニックは天国から地獄へ。
── 開院半年での水害でしたが、当日皆さんは院内にいらしたんですか?
院長:あの日は午後が休診で、私とヒロミさんは歯学セミナーに出席していて、院内はユミさん一人でした。
ユミ:奥の部屋で仕事をしていたら、患者さんから連絡がきて「西早稲田が大変なことになってるけど大丈夫?」って…。それで慌てて入口へ行ったら、もう待合室が水浸しで、院長をはじめスタッフ全員に電話したけど、誰にも繋がらなくて、一人でパニック状態でした。
院長:しばらくして着信に気付いたのですが、出席中のセミナーの参加費が高額だったので退席するのがもったいなくて(笑)。とりあえず終わってから…、なんて甘く考えていたんです。その後ユミさんから送られてきた院内の写真を見てビックリして、ヒロミさんにはセミナーに残ってもらい、慌てて医院に帰ったんです。
ユミ:院長が戻った時には水は引いていましたが、中は泥だらけで、外にはテレビの取材や見物者もたくさんいて、もう何が何だかという感じで…。
院長:だただ愕然とするばかりでした。院内は、漏電するので電気は付けてはいけないと言われたので真っ暗。浸水は受付の段差まででしたが、復旧工事のために業者の方に見て頂いたら、床下が医院の奥まで浸水しているから床を剥がして配管部分から工事が必要だから復旧まで2ヶ月かかると言われ…。開院半年でこれからどうなるんだろうと、とても不安になりました。
ミユキ:夜にはスタッフが全員集合していて、まずは患者さん優先だって思い、その日は夜遅くまで真っ暗な中で懐中電灯を照らしながら、翌日以降の予約の患者さんたちに事情説明と予約キャンセルのお電話をずっとかけ続けていました。
二ヶ月の休診で苦しんだ日々。
── 休診中は、どんな思いでしたか?
院長:柱と天井以外は全て取り壊しになってしまい。最初にまず診察台やCTなど全て取り外し、一時的に引越して本当にバタバタでした。
ミユキ:私は引き続き、休診のお知らせの電話をかけ続けていました。それでも連絡が取れずに、予約当日に来院される方もいて対応に追われていました。
院長:最初は本当に辛かったです。特にヒロミさんは診察が出来なくてフラストレーションが溜まってましたよね。歯科衛生士として歯周治療に全力を傾けているから「早く診察したい〜!」って(笑)。
ヒロミ:そうですね(笑)。休診中はあの患者さんの状態は大丈夫だろうか、悪化していないだろうかなど、いろんな患者さんを思い浮かべて心配してました。
ユミ:治療や診察だけでなく、患者さんに会ってお話が出来ないというのがみんなのストレスでしたよね。
院長:ただ結果的には良かったこともありました。それまでは開院後のバタバタで、全員で話し合う時間がなかなか取れなかったのですが、落ち込んでいるだけじゃだダメだってことで、半年間の問題点や仕事について見つめ直したり、話し合ったりして、個々のスキルアップや医院の課題解決に時間を充てることが出来たんです。設備の変更や充実はもちろん、スタッフ同士の結束力が高まりましたね。
ミユキ:患者さんとの関係もさらに深まりました。本当に多くの患者さんが心配してくれて、お電話を頂いたり、お見舞いに来てくれたりして「診療再開まで待つよ」って言ってくださって…。困難な状況でしたが、貴重な体験でした。
ヒロミ:私も患者さんや地域との絆が深まったと思います。皆さまの期待に応えるためにも、もっと知識と技術を磨こうと思いました。
地域と歩む決意とともに、晴れてリニューアルオープン。
── 再オープンを迎えて、今後の展望や思いはありますか?
ユミ:歯科は痛くなったら治療する場所というイメージが強いですが、歯の健康には予防が何より大切です。歯科衛生士の仕事は予防がメインなので、私に日頃から会いに来て欲しいです(笑)。
ミユキ:今まで以上に、デンタルタニザワが地域の皆さんの生活と関わり、家族や世代を越えて集まれる場所になれば良いなと思っています。
ヒロミ:歯が治ると、性格まで明るくなる患者さんがたくさんいらっしゃいます。これからも、治療だけの関係で終わらず、個人的な悩みも話せるような関係づくりを心掛けたいです。
院長:先に言われてしまいました(笑)。歯科先進国のスウェーデンを理想に、口の中の健康の大切さを西早稲田からもっと発信していきたいですね。私たちが予防歯科の発信源となることで、水害で支えて下さった地域の皆さまに恩返ししていきたいと思っています。
【月〜土】9:30〜12:30/14:00〜19:30
※土曜の午後診療は18時まで