『黒衣の刺客』

THE MEIGAZA Vol.23

暗殺者として育った女の数奇な運命の物語と、息を飲むような映像美。今回の作品は２０１５年カンヌ国際映画祭監督賞を受賞した巨匠 候孝賢（ホウ・シャオシェン）監督の8年ぶりの最新作。代表作『非情城市』との豪華2本立ては必見です！

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 時代は唐。13年前に女道士に預けられた隠娘（インニャン）が両親の元に戻ってくる。美しく成長した彼女は完全な暗殺者に育て上げられいたはずだった。しかし、子どもと一緒だった標的への任務に失敗したインニャンは、かつて許嫁であった藩鎮（地方を治める）節度使・田李安（ティエン・ジィアン）の暗殺を命じられた。

台湾の歴史と共に映画を作り続けてきた巨匠ホウ・シャオシェン。１９４５年の終戦、二、二八事件、そして１９４９年の国民党政権樹立と激動の時代を送った台湾の歴史を描いた『非情城市』が第４６回ヴェネツィア国際映画祭では中国語映画において初の金獅子を受賞した。その彼が、8年の沈黙を破り、いま描くものは、大きな策謀が交錯する政治の時代に、暗殺者として育てられ、仲間もいない、孤独な戦いを繰り広げる女性の刺客。しかし、その戦いは師から命じられた任務をただ遂行するものではなく、時代を暗躍する者たちとの影の戦いだった。約１３億円もの予算を投じて、徹底的にディテールにこだわった美しく静謐な画面（山水画とも見間違うほどの、絶景！）。飛び回るカンフー映画とは一線を画すシンプルかつ流麗なアクション。ほとんど古典的な傑作と肩を並べるほどの超一流の映画をぜひお見逃しなく！