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【早稲田松竹】1/23~1/29|『悲情城市』『黒衣の刺客』

 

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台湾の巨匠ホウ・シャオシェン監督最新作『黒衣の刺客』は、8世紀後半、唐代の中国を舞台に、孤独な女刺客を主人公とする武侠映画です。
とはいえ、戦士たちが派手に宙を舞い、死闘を繰り広げる『グリーン・デスティニ-』のような大活劇が展開されるわけではありません。ホウ監督としては異例ともいえる活劇的なプロットを持ちながらも、『童年往事/時の流れ』からホウ作品を支えてきたリー・ピンビンのカメラは、中国の北東部にある内モンゴルや、河北省にある森や湖の美しい自然の中に溶け込んだ人間たちの営みを静謐に切り取っていきます。まるで中国の古典絵画の様な幽玄な画面の中に静と動、愛と憎しみが交錯する独特な映像世界には、思わず魅せられてしまいます。
ホウ・シャオシェン監督は映画を川に例えた上で、このように語っています。
「(自作の観客は)ほとばしる渓流の河岸に腰を下ろして、流れ去っていくすべてのものや突然の動き、そして静寂の瞬間を眺めるようなものですね。しかし眺めているだけでなく、その流れに飛び込み文字どおりそこに浸り、自分たちの想像力に乗って運ばれていって欲しいと、私は願っています。」
その言葉通り、自由で多義的な映画のあり方を存分に見せてくれる本作は、ホウ監督の真骨頂と呼ぶに相応しい傑作です。

一方『悲情城市』は、それまで『恋恋風塵』や『冬冬の夏休み』など、個人的体験から出発した繊細な小品をつくり続けていたホウ監督が、風化していく台湾の歴史の記憶を残したいという想いから、徹底した取材の果てに生み出した大作です。 ここでは、無駄な説明を排した簡潔なスタイルと、胸を打つ劇的な構成が驚くほど見事に調和しています(この作品を評して、米国のヴァラエティ紙がつかった「小津風のゴッドファーザー」という言葉は何とも言い得て妙です)。一見淡々とした何気ない人々の所作のなかに、その時代の空気を鮮やかに写しとっていく透徹した眼差しがとても印象的です。2時間39分という長尺を感じさせない、豊かで力強い映画体験を観る者に与えてくれるホウ監督の代表作です。

早稲田松竹映画劇場(ルー)

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悲情城市
悲情城市/A CITY OF SADNESS
(1989年 台湾 159分 35mm ビスタ/MONO)
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2016年1月23日-1月29日上映
開映時間 12:05 / 17:00

■監督 ホウ・シャオシェン
■脚本 ウー・ニエンジェン/チュー・ティエンウェン
■撮影 チェン・ホアイエン
■編集 リャオ・チンソン
■音楽 立川直樹/ジャン・ホンイー
■出演 トニー・レオン/シン・シューフェン/リー・ティエンルー/チェン・ソンヨン/カオ・ジエ■1989年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞/台北金馬獎最優秀監督賞・主演男優賞受賞

こんなにも美しい愛があった こんなにも激しい死があった

1945年8月15日。無条件降伏を告げる天皇の玉音放送が流れたその日、林家の長男、文雄の男子が誕生した。停電の最中、電灯がついた時に生まれた子であり、祖国復帰の喜びをこめて光明と命名された。

pic林家の主、阿禄は75才。4人の息子がいるが、次男は日本軍に徴用されて南洋から帰らず、三男は上海から生還したものの精神錯乱の状態。幼い頃の事故で耳が聞こえぬ四男の文清は写真館を開いている。文清と同居する教師、呉寛榮とその仲間は理想の実現に情熱を燃やし、寛榮の妹の寛美と文清の恋が美しく咲いていく。

しかし祖国復帰の喜びも束の間、大陸から来た<外省人>と台湾の<本省人>の対立が、47年、<ニ・ニ八事件>となって、台湾を歴史的な悲劇に巻き込んでいく。

かなしみが心をうつ悲情城市 現代台湾史の壮大な叙事詩―― ホウ・シャオシェン監督の代表作!

『悲情城市』は、1989年のヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を獲得して全世界で大きな話題となった。ホウ・シャオシェン監督はそれまでもナント国際映画祭などで高い評価を受けてきてはいたが、台湾映画自体、大映画祭でコンペティション部門に出品されたことが初めてだった。

pic映画は日本統治時代の終わりから、中華民国が台北に遷都するまでの台湾社会が描かれている。公開当時は台湾の戒厳令解除から僅か2年後であり、台湾内で二・二八事件が公に語られることは多くはなかった。主演のトニー・レオンは台湾語が話せなかったため、聴覚障害者の役(文清)になったといわれる。

原題の<悲情>はこみあげる深い悲しみ、<城市>は街。直接的には映画の舞台である基隆をさすが、民族や歴史、台湾そのものの悲しむ心を思わせる題名である。

黒衣の刺客
刺客 聶隱娘/THE ASSASSINS

(2015年 台湾/中国/香港/フランス 108分 DCP ビスタ)
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2016年1月23日-1月29日上映
開映時間 10:00 / 14:55 / 19:50

■監督 ホウ・シャオシェン
■脚本 チョン・アーチョン/チュー・ティエンウェン/シェ・ハイモン
■撮影 リー・ピンビン
■編集 リャオ・チンソン
■音楽 リン・チャン
■出演 スー・チー/チャン・チェン/妻夫木聡/忽那汐里/シュー・ファンイー/ニー・ダーホン/ヨン・メイ/レイ・チェンユイ/シェ・シンイン/イーサン・ルアン
■2015年カンヌ国際映画祭監督賞受賞/台北金馬獎最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀撮影賞受賞
■オフィシャルサイト http://kokui-movie.com/

pic唐代の中国。13年前に女道士に預けられた隠娘(インニャン)が戻ってくる。両親は涙を流し迎え入れるが、美しく成長した彼女は暗殺者に育て上げられていた。標的は暴君の田季安(ティエン・ジィアン)。かつての許婚であった。

どうしても田季安に止めを刺すことができず、隠娘は暗殺者として生きてきた自分に情愛があることに戸惑う。「なぜ殺めるのか」と、その運命を自らに問い直す。ある日、窮地に追い込まれた隠娘は、日本人青年に助けられる…。

カンヌ国際映画祭監督賞受賞! 最も美しく、最も静謐な、 新しい武侠映画。

pic ホウ・シャオシェン監督の8年ぶりの新作となる『黒衣の刺客』。『戯夢人生』、『フラワーズ・オブ・シャンハイ』、『百年恋歌』などに続き、ホウ監督はカンヌ国際映画祭コンペティション部門に本作で7度目の出品という偉業を成し遂げ、見事監督賞に輝いた。

製作期間5年、総製作費は約13億円にのぼり、アジア最高のキャストとスタッフが集結した。ヒロインを演じたのは、ホウ監督のミューズ、スー・チー。激しい感情を押し殺した寡黙な演技で、新境地を見せている。標的となる田季安には『レッド・クリフ』シリーズで知られるチャン・チェン。そして、遣唐使である日本人青年を妻夫木聡、その妻を忽那汐里が演じている。

また、炎の揺れや木々のざわめきまでも捉える名匠リー・ピンビンの繊細なカメラワークと、本作でカンヌ国際映画祭最優秀映画サントラ賞を受賞したリン・チャンの荘厳な音楽が物語により深みを与えている。

出典:早稲田松竹映画劇場

 

DATA
早稲田松竹映画劇場
TEL
03-3200-8968
住所
新宿区高田馬場1-5-16 
入場料:1,300円(大人)/1,100円(学生)/800円(ラスト1本)など

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