『海の都の物語 ―ヴェネツィア共和国の一千年―』 著者:塩野七生 新潮社刊
MY本 Vol.27
1980年代に20代後半で製薬会社のMRからファミリービジネスの経営幹部となった魚住さんは、当時経営層に注目されていた塩野七生氏の本を読み漁っていた中でこの本に出会った。『海の都の物語』は、ヴェネツィア共和国が7世紀末から18世紀末まで、一千年以上もの間、外交、貿易、軍事力を駆使しながら、他国の侵略から独立と自由を守り続けた興亡が全6巻に渡り記されている。
国も企業も盛者必衰。そんな中、魚住さんはヴェネツィア共和国が、時代に合わせて国の内外に対する政策や制度、戦略を変化させながら、長く存続をしていく物語に引き込まれ、感動したという。「上っている時、いいときこそ、リスクをとって変革をすべきだと思うんです。下がっているときには、既に打つ手がない場合もあります」と語る。国も企業にも柱があってこそ生存でき、同時に時代を読んで変わっていくことも大切。一貫した考えに基づいて先手を打って行動していれば、将来その手を取った意味が見えてくる。
「この本が私の経営哲学の素地を作ったと言っても過言ではありません。直近の目標はもちろん大事ですが、経営者は10年、20年後という長期を見据えて先手を打つべき。東京ガスグループという現状にあぐらをかくことなく、常に挑戦をして変革をしてきたい」と魚住さん。組織や企業のリーダーシップが問われるこれからの時代に、この本は変革のための多くのヒントを与えてくれるだろう。
外交と貿易、軍事力を駆使し、自由と独立を守ったヴェネツィア共和国の壮大な興亡史。全六巻。
東京ガスSTコミュネット株式会社
取締役副社長
魚住 泰之さん
ガスから電力、リフォーム、ビル管理まで地元の方の暮らしのパートナーを目指す「東京ガスライフバル新宿・豊島」を運営。高田馬場、新宿御苑、落合、池袋、東池袋の5店舗を展開。
☆東京ガスライフバル新宿・豊島
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