『湯を沸かすほどの熱い愛』
THE MEIGAZA Vol.27
今回の作品は、宮沢りえ主演、第40回日本アカデミー賞6部門を受賞した話題の映画。余命二ヶ月の母を取り巻く家族の愛と絆を描きながら、ユーモアとポジティブさに溢れた心温まる作品。きっと笑いと涙なしでは観られないはず!
©2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会
「湯気のごとく、店主が蒸発しました」一年前に夫が失踪してから幸の湯は休業。幸野双葉はパートをしながら娘の安澄を育てていた。学校でいじめられていた安澄は「お母ちゃんくさい」と言いながら借りたハンカチの香りを頼りに耐えていた。双葉は傷つく安澄に心を痛めながらも「明日もちゃんと学校行こうね」と安易に学校を休ませたりはしなかった。ある日、双葉はパートの最中に突然倒れてしまう。診断は末期がん。余命二ヶ月と宣告された双葉はある決心をする。
自主制作作品「チチを撮りに」が第63回ベルリン映画祭に正式出品され高い評価を受けた新鋭・中野量太監督。本作が商業デビューでありながら、日本アカデミー賞を6部門、最優秀主演女優賞と最優秀助演女優賞のダブル受賞する快挙。それも納得。厳しくも温かい愛情を言葉の端々までみなぎらせる双葉の姿に、序盤から涙腺がゆるんでしまう。といいつつも、難病を取扱いながらも涙を誘おうとしているわけではない。(おそらく病気になる以前からの)彼女の生きることとの真面目な向かい方に感動してしまうのだ。出会った人々を前向きに変貌させていく、その存在感はまるで現代版の黒澤明作品『生きる』のよう。きっと彼女の強い言葉たちに勇気づけられるはずです。是非お見逃しなく!
4月29日(土)~5月5日(金) 『聖の青春』と2本立て上映
『湯を沸かすほどの熱い愛』 (2016年 日本 125分)
脚本・監督 中野量太 出演 宮沢りえ/杉咲花/オダギリジョー/松坂桃李 ほか 第40回 日本アカデミー賞、優秀作品賞、最優秀主演女優賞、最優秀助演女優賞、優秀監督賞、優秀脚本賞 新人俳優賞