『お嬢さん』
THE MEIGAZA Vol.29
世界中の映画祭で71ノミネート、33受賞という実績で映画界を席巻したパク・チャヌク監督作品。先が読めない 騙し合いとエロティシズム、そして映像美が交錯する華麗で過激なサスペンスは、永くあなたの心に刻みこまれるはず。
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母親を亡くし犯罪家族に育てられたスッキは、日本人に高値で売るための孤児の世話をしながら暮らしていた。藤原と名乗る詐欺師の男は、スッキをある屋敷に侍女として潜り込ませるつもりだった。狙いは両親を亡くした秀子お嬢様の莫大な財産を得るために、信頼を掴んで内情を探り、藤原と駆け落ちするチャンスを作ること。今の暮らしを抜け出したかったスッキは、褒美を約束されて屋敷へと向かう。しかしスッキは、秀子お嬢様のあまりの美しさに一目で魅了されてしまい、計画は少しずつ変化していくのだった。
原作はレズビアン作家としても有名なサラ・ウォーターズの「荊の城」。英国推理作家協会の年間優秀賞を受賞した本格歴史ミステリーでありながら、女性同士の官能的な純愛を描いた物語です。本作で韓国映画として初めてカンヌ国際映画祭の芸術貢献賞を獲得したパク・チャヌク監督は、舞台をイギリスから帝政日本統治下の朝鮮半島へと移すことで、貴族と貧民という格差だけでなく国籍の壁をも越える純愛を描いた。また監督のフェイバリットムービーでもあるキム・ギヨン監督の『下女』(1960)を彷彿とさせる女性の男権社会への復讐ドラマとしても構築されていて、物語が二転三転としながら飽きさせることのない、刺激たっぷりの映画です。ジャンルを越えたエンターテインメントとして、また世界を唸らせた耽美的な映像世界を是非ご堪能ください。
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7月15(土)〜7月21日(金)
「哭声/コクソン」と2本立て上映
お嬢さん(2016年 韓国 145分 R18+)
監督・脚本:パク・チャヌク
出演:キム・ミニ/キム・テリ/ハ・ジョンウ/チョ・ジヌンほか
哭声/コクソン(2016年 韓国 156分)
監督・脚本:ナ・ホンジン
出演:クァク・ドウォン/ファン・ジョンミン/國村隼ほか