【早稲田松竹】7/15(土)~7/21(金)「哭声/コクソン」「お嬢さん」
今週の早稲田松竹は、韓国映画の二本立て。話題の衝撃作『哭声/コクソン』と『お嬢さん』をお送りいたします。
『哭声/コクソン』は、とある小さな村で多発する猟奇殺人事件と、村人たちの中に増殖する”よそ者“への疑念を描いてゆきます。 この話、ほんっとうに全く先が読めません。 物語が進むにつれて、「こうかもしれない」と予測した次の瞬間「え?!なんで??」 と覆され、「どういうことなのか…」と混乱してラストを迎えます。 観た後は「一体何を信じればよいのか…。」と、 しばらくはこの物語を考察しまくる”『哭声/コクソン』病“にかかること請け合いです。
本作のキーパーソン”よそ者“に、日本人俳優・國村隼が起用されたのも話題となりました。 一番の見所はそのビジュアル。ふんどし一丁で生肉を貪り食う國村さん、必見です。 しかも、韓国のアカデミー賞・青龍映画賞では外国人初の男優助演賞と人気スター賞をW受賞という快挙を成し遂げました。 街を歩けば写真撮ってください、握手してくださいの人気者になったそうです。
ナ・ホンジン監督がこの”よそ者“を日本人に設定したのは、韓国人と外見が似ていて見分けづらく、 本作のテーマである“混同”を表現するのに一番適していると考えたからだそうです。 「あの男が怪しい」「あの男が犯人だ」「あいつが居なくなれば平和が戻る」といった具合に、 人々は“よそ者”を疑い始め、自分が見たもの、信じたことに対して、疑う心を忘れてゆきます。 忘れてはなりません、本作のキャッチコピーは、「疑え。惑わされるな。」です。
一方、『お嬢さん』は、英国人作家サラ・ウォーターズのミステリー小説「荊の城」を原案に、 舞台を日本統治下の朝鮮半島に置き換え大胆に脚色。令嬢、メイド、詐欺師、富豪の究極の騙し合いを描きます。 しかし、観客の私たちだって油断禁物です。 物語は三部構成となっており、メイド・スッキの視点で描かれる第一部のラストには「えぇ!?」と驚き、 令嬢・秀子の視点で描かれる第二部で「どういうこと?!」と翻弄され、 真相が明かされる第三部で「やられた~!!」と、その見事な展開にため息を漏らしてしまう…。 そう、騙されるのは、私たちなのです。
過激な官能描写が話題の本作。 特筆すべきは、お嬢様・秀子とメイド・スッキの女性同士のベッドシーン! パク・チャヌク監督は、映画史上一番セリフが多いベッドシーンにしようと思ったそうです。 二人の女優の体当たりの演技がこの物語に深みを与えているといっても過言ではありません。 二人は騙し騙される関係でありながら、互いに惹かれ合ってゆくのですが、 そのころころと変わる関係性や、愛情の浮き沈みに、観ている私たちまで振り回されてしまいます。
そして、本作では半分は日本が舞台となるため、日本語が沢山使われます。 物語全体に、エロティックな空気が漂いますが、たどたどしく語られる日本語が、妙に色っぽく、 大胆な単語は、観客に恥ずかしさよりも可笑しさを与え、絶妙なさじ加減で演出されています。 「ラブシーンで笑ってもいいか?」との質問に、パク・チャヌク監督は、 「それは私が意図していることなので、この映画では大いに笑って欲しい。」と答えています。
どちらも長尺ですが、観始めたらあっという間。 次々に展開するストーリーにあれよあれよと飲みこまれ、 気付けば物語の世界にどっぷりと浸かっている…そんな映画です。 疑ったり、騙されたりと、何を信じたらいいのかわからなくなるかもしれませんが、 「この映画は面白い。」 これだけは信じていただいて大丈夫です!
(もっさ)
★週の途中で上映時間(上映順)が変わります。スケジュールにご注意ください。
哭声/コクソン
곡성(哭聲)
(2016年 韓国 156分 )
2017年7月15日から7月21日まで上映
【7/15(土)-7/17(月)】 10:30 / 16:10
【7/18(火)-7/21(金)】 13:15 / 18:55
■監督・脚本 ナ・ホンジン
■撮影 ホン・ギョンピョ
■音楽 チャン・ヨンギュ/タルパラン
■出演 クァク・ドウォン/ファン・ジョンミン/國村隼/チョン・ウヒ/キム・ファニ/チャン・ソヨン
■第37回青龍映画賞監督賞・男優助演賞・人気スター賞受賞(國村隼)
■オフィシャルサイト
http://kokuson.com/
■物販情報
・パンフレット(720円)
©2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
平和な田舎の村に、得体の知れないよそ者がやってくる。この男についての謎めいた噂が広がるにつれて、村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発していく。そして犯人は必ず濁った眼に湿疹でただれた肌をして、言葉を発することもできない状態で現場にいるのだ。事件を担当する村の警官ジョングは、ある日自分の娘に、殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付く。ジョングは娘を救うためによそ者を追い詰めていくが、そのことで村は混乱の渦となっていき、誰も想像できない結末へと走り出す――
カンヌ映画祭ほか、世界の映画祭が熱狂!
ナ・ホンジン監督待望の最新作。
韓国映画史上に残る、究極のサスペンス・スリラー
『チェイサー』や『哀しき獣』などで、韓国映画界を支える一人として確固たる地位を築いたナ・ホンジン監督。その待望の新作である『哭声/コクソン』は、じわじわと息の根を止めるように高まる緊張感とまったく先の読めない展開、そして圧倒的な映像で観る者を映画の中へ引きずり込む。
主人公の警官ジョングを演じるのは、ドラマや映画の名脇役として知られるクァク・ドウォン。『哀しき獣』でクァクに出会ったナ・ホンジン監督の大抜擢により、43歳にして本作が初の主演作となった。村人を惑わすよそ者には、日本の俳優・國村隼。その強烈な存在感で韓国の映画ファンを虜にし、アジア太平洋スターアワードでは特別俳優賞優秀賞を受賞。さらに、青龍映画賞では男優助演賞と人気スター賞をW受賞し、映画賞史上初の外国人の受賞という偉業を打ち立てた。
お嬢さん
AGASSI
(2016年 韓国 145分 )
2017年7月15日から7月21日まで上映
【7/15(土)-7/17(月)】 13:25 / 19:05
【7/18(火)-7/21(金)】 10:30 / 16:10
■監督・脚本 パク・チャヌク
■原作 サラ・ウォーターズ「荊の城」(創元推理文庫刊)
■脚本 チョン・ソギョン
■撮影 チョン・ジョンフン
■音楽 チョ・ヨンウク
■出演 キム・ミニ/キム・テリ/ハ・ジョンウ/チョ・ジヌン
■2016年カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品・芸術貢献賞受賞/LA批評家協会賞外国映画賞・美術賞受賞/サンフランシスコ映画批評家協会賞美術賞・外国映画賞受賞 ほか多数受賞・ノミネート
■オフィシャルサイト
http://ojosan.jp/
■物販情報
・パンフレット(650円)※数量限定
©2016 CJ E&M CORPORATION, MOHO FILM, YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
1939年の朝鮮半島。支配的な叔父と、膨大な蔵書に囲まれた豪邸から一歩も出ずに暮らす華族令嬢・秀子のもとへ、新しいメイドの珠子こと孤児の少女スッキがやってくる。実は詐欺師一味に育てられたスッキは、秀子の莫大な財産を狙う“伯爵”の手先だった。伯爵はスッキの力を借りて秀子を誘惑し、日本で結婚した後、彼女を精神病院に入れて財産を奪う計画だ。だがスッキは美しく孤独な秀子に惹かれ、秀子も献身的なスッキに心を開いていく…。
パク・チャヌクが放つ、狂おしい官能と欲望の罠。
華麗で過激な、究極の騙し合いを描いた超衝撃作。
原作は英国の小説家サラ・ウォーターズの傑作「荊の城」。監督は、『オールド・ボーイ』、『渇き』で世界を震撼させ、『イノセント・ガーデン』ではハリウッド進出も果たした韓国の巨匠パク・チャヌク。その集大成ともいえる『お嬢さん』は、過激で倒錯したエロスと先の読めないサスペンス、そして隅々まで贅を尽くした美で観るものを魅了する。
映画は三部構成で、第一部はスッキの視点で、第二部は秀子の視点で事件の顛末が描かれ、第三部は衝撃的な真相が明かされる。第69回カンヌ国際映画祭で絶賛され、韓国では官能描写の激しさから成人映画指定(R19)となるも動員400万人以上を記録。世界的にも異例のヒットを飛ばし、スキャンダラスな大ヒット作となった。
出典:早稲田松竹映画劇場
上映作品によりタイムテーブルが異なりますので、週により開館・閉館時間は異なります。