『寝ても覚めても』
THE MEIGAZA Vol.36
今回の作品は、柴埼友香原作の長編恋愛小説を濱口竜介監督が映画化した大人の恋愛映画。
「第71回カンヌ国際映画祭」コンペティション部門に正式出品された話題作が早くも早稲田松竹で上映です!
©2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS
「何があっても、朝子ちゃんのところに帰ってくるよ」出会った瞬間に運命的ともいえる恋に落ちた朝子と麦(バク)。しかしどこか浮世離れした麦はたびたびいなくなってしまうことがあった。そしてある日「靴を買いに行く」と言い残して、麦は本当に姿を消してしまう。数年後、ずっと彼を忘れられずにいた朝子の前に麦とそっくりの顔をした亮平が現れる。戸惑いながらも惹かれあう二人だが、朝子は麦の面影を消し去ることができない。二度と会うまいと距離を置く二人だったが、2011年3月11日東日本大震災の混乱の中、お互い
を探し出して再会するのだった。
作家・柴崎友香の同名小説を現代日本映画の旗手・濱口竜介監督が映画化した。本作は、優しく幸せな時と残酷さや絶望が驚くほど近くにあることに気づかせてくれる恋愛映画だ。目に見えるものを書いていくという小説本来のスタイルと原作にはなかった東日本大震災という設定が、同じ顔の2人の恋人だけでなく、様々な時間や場所の記憶の混乱を引き起こす。人が生きる上で信じようとしたり、忘れようとしたりする、そんな感情や記憶を、この時代に生きる人々の息吹とともに風景や場所に繊細に刻みつけていく濱口竜介監督のタッチ。迷いながらも大切な誰かのことを思うことを止めない朝子の姿は多くの人々の心を掴むに違いありません。日本映画史に残る超必見の傑作。この映画のそっと心に寄り添うようなあたたかさが皆様にも届きますように。
4月27日(土)~5月3日(金)
「きみの鳥はうたえる」と2本立て上映
『 寝ても覚めても』
(2018年 日本 119分)
監督・脚本 濱口竜介
出演 東出昌大/唐田えりか ほか