【早稲田松竹】3/30(土)~4/5(金) 上映 『第三世代』『13回の新月のある年に』『ローラ』『マルタ』
早稲田松竹クラシックス:特別編
第三世代 The Third Generation
■編集・助監督 ユリアーネ・ローレンツ
■美術 ラウル・ヒメネス/フォルカー・シュペングラー
■音楽 ペール・ラーベン■出演 フォルカー・シュペングラー/ビュル・オジエ/ハンナ・シグラ/ハリー・ベア/ヴィートゥス・ツェプリヒャール/ウド・キアー/マーギット・カーステンセン/ギュンター・カウフマン/エディ・コンスタンティーヌ
■公式サイト
http://www.ivc-tokyo.co.jp/fass2018/
■物販情報
・パンフレット(600円)
・書籍「ファスビンダー、ファスビンダーを語る」(第1巻:2200円、第2&3巻:5500円)
・『ヴェロニカ・フォスのあこがれ』ブルーレイ(5184円)
・『あやつり糸の世界』ブルーレイ(8424円)
©2015 STUDIOCANAL GmbH. All Rights reserved.
物質的欲望の充足、無限の絶望の終焉。ファスビンダーが放つ、「最も難解で自由な作品」。
1970 年代末期のベルリン。起業家P・J・ルーツは、自身の事業であるコンピューター販売の不振を憂う中で、一つの着想を持った。この都市でテロ事件が起これ ば、警察が捜査用にコンピューターを導入する、というものであった。そのルーツの秘書ズザンネは地下組織のメンバーで仲間と共にテロを計画している。夫の エドガーもそのメンバー。そのグループには「革命」のような思想や理念はなく、ただスリルに耽溺した遊びであった。リーダーのアウグストはルーツと通じて おり、全ては企業と権力の手中にあるのだった…。
意志と表象としての世界——。彼らも、我々も、もはや何も理解できない。理解しようとしない。暴力で構成された社会に曝され、支配され、共感し、欲望し、 絶望する。怒りと悲しみとおかしみが横溢するこの世界は、とっくに壊れている。革命への理念を持たず、ただ目先のスリルだけ追い求める「第三世代」のテロ リストたちを描く。
13回の新月のある年に In a Year with 13 Moons
■公式サイト
http://www.ivc-tokyo.co.jp/fass2018/
■物販情報
・パンフレット(600円)
・書籍「ファスビンダー、ファスビンダーを語る」(第1巻:2200円、第2&3巻:5500円)
・『ヴェロニカ・フォスのあこがれ』ブルーレイ(5184円)
・『あやつり糸の世界』ブルーレイ(8424円)
©2015 STUDIOCANAL GmbH. All Rights reserved.
魂の破滅へ——様々なイメージがセンセーショナルに提示される、ファスビンダー最大の「問題作」。
男 性から女性に性転換したエルヴィラ。過去には結婚し娘もいるが、男装して男娼を買いに街に出るような曖昧な性を生きている。一緒に暮らしていた男クリスト フが家を出て行き、傷つくエルヴィラを、仲の良い娼婦ツォラが支える。二人はエルヴィラがかつて働いていた精肉場を訪れ、育ての親シスター・グルドンを訪 ねる。妻イレーネと娘マリアンとも会うが、それは昔の自分に戻れないことを確認することであった。
そしてエルヴィラは、アントン・ザイツという男に会いに行く。エルヴィラが性転換をするきっかけは彼への愛があった。アントン・ザイツは強制収容所を生き延び、フランクフルトの大物となっていた…。
7年おきに来る「太陰年」に、新月が13回巡る年が重なると、なす術もなく破滅する者が幾人も現れる——。男装して街を彷徨い、男娼を求めるエルヴィラの 「性」。愛への憧情と不安。孤独。パートナーとの別れ、離別した妻子との対話、幼少期を過ごした修道院のシスターが語る出生の秘密、性転換手術を促した男 アントン・ザイツとの再会…、エルヴィラの最期の5日間を描く。
ローラ Lora
■脚本 ペア・フレーリッヒ/ペーター・メルテシャイマー
■撮影 ザビエ・シュワルツェンベルガー
■音楽 ペール・ラーベン■出演 バルバラ・スコヴァ/アーミン・ミューラー・スタール/マリオ・アドルフ
■公式サイト
http://mermaidfilms.co.jp/fassbinder30/
■物販情報
・書籍「ファスビンダー、ファスビンダーを語る」(第1巻:2200円、第2&3巻:5500円)
・『ヴェロニカ・フォスのあこがれ』ブルーレイ(5184円)
・『あやつり糸の世界』ブルーレイ(8424円)
★製作から長い年月が経っているため、全編にわたりプリントが退色いたしております(全体的に赤みがかっております)。ご了承の上、ご鑑賞いただきますようお願いいたします。
戦後ドイツの経済復興期を背景に、公私の利害が複雑に交錯したローラと二人の男の三角関係を描く。
終戦から10年ほど経ち、市場経済が急速に活気づく西ドイツのある都市に、新任の建設局長フォン・ボームがやって来る。彼は娼婦のローラに心を奪われるが、彼女は建設会社の経営者シュッケルトの愛人だった…。
第2次大戦中にアメリカに渡り、ハリウッドで数多くの傑作メロドラマを作り続けた巨匠ダグラス・サークと’70年に出会ったファスビンダーは彼から多くの 影響を受けている。映画史に幾度となく登場する永遠のヒロイン“ローラ”。ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督の名作『嘆きの天使』を1950年代ドイツ に置き換え、田舎の歌姫と生まじめな小役人のメロドラマへと大胆に変更したファスビンダーは、往年のアメリカ映画へオマージュを捧げつつドイツ成長期の精 神的退廃を見事に映像化。室内の場面で赤、青、黄、緑といった人工光を使用したゴージャスで奇抜な撮影に同性愛者でもあった彼の美意識が光っている。
マルタ Martha
■脚本 クルト・ラーブ
■撮影 ミヒャエル・バルハウス
■音楽 ペール・ラーベン■出演 マルギット・カルステンセン/カールハインツ・ベーム/バルバラ・ヴァレンティン/ペーター・カテル
■公式サイト
http://mermaidfilms.co.jp/fassbinder30/
■物販情報
・書籍「ファスビンダー、ファスビンダーを語る」(第1巻:2200円、第2&3巻:5500円)
・『ヴェロニカ・フォスのあこがれ』ブルーレイ(5184円)
・『あやつり糸の世界』ブルーレイ(8424円)
美しい夏の湖畔を舞台に、夫婦間の激しい抑圧関係を描いたエキセントリックなメロドラマ。
マ ルタはローマを旅行中に、心臓発作で父を亡くしてしまう。帰国後、旅先で見かけた男ヘルムートと再会する。ヘルムートはマルタを言葉で侮辱したり、嫌がる ことを強要するが、マルタは従順に受け入れ2人は結婚する。しかし、ハネムーンに出かけたイタリアで、ヘルムートの要求はさらにエスカレートしていき、精 神的、肉体的にマーサを痛めつけるようになっていく…。
ノワール系の作家コーネル・ウールリッチの短篇に似ていると出版社から抗議を受け製作側が改めて映画化権を獲得したといういわくつきの作品。世間知らずの ブルジョワ娘が結婚した男は潔癖症のサディスティックな男。設定の不条理さが‘70年代ドイツ市民社会の抑圧された結婚生活を辛辣にあぶりだす。
マーティン・スコセッシ、フランシス・フォード・コッポラの作品で世界的な撮影監督となったミヒャエル・バルハウスによる鏡を多用した映像がヒロイン・マ ルタの孤独な内面を見事に表現している。イプセン作「人形の家」のダーク・バージョンともいえる本作は、エキセントリックなメロドラマでありながら心理サ スペンスの要素も加味された傑作。