第四十場 ゲスト:佐藤B作
ジモア宣伝隊長HEY!たくちゃんのババくる!?
ものまね芸人HEY! たくちゃんが、高田馬場で対談! 今回のゲストは、高田馬場在住20 年、早稲田大学を経て自らの劇団を結成し、舞台・映画・ドラマに長年活躍し続ける俳優の佐藤B 作さん。欽ちゃんとの思い出や50 年に渡り喜劇を追究してきた真髄にたくちゃんが迫ります!
副都心線西早稲田駅徒歩3分、多くの劇団が作品を披 ロケ地:高田馬場ラビネスト露する多目的スタジオ「高田馬場ラビネスト」にて。芸や芝居への情熱が尽きない佐藤B作さんとたくちゃんのクロストークがスタート!
たくちゃん:B作さんは高田馬場に長年お住まいなんですよね?
B作:ずっとこの辺で引っ越ししてきて高田馬場はもう20年以上になるかな。劇団も高田馬場にあるから、地元でよく飲み歩いてるよ。この辺で若い子たちと仲良くなって学生向けの居酒屋にハシゴしたこともあるし。
たくちゃん:えっ、それは意外です! B作さんは早稲田大学に入学してから演劇を続けているんですか?
B作:いや、本当は商社マンになりたくて早稲田の商学部に入って最初は真面目に勉強してて……。でも夏頃には全部イヤになってね…、福島の田舎からとにかく東京に出たくて、恋愛もしないで必死に受験勉強やってきたから、自由になりたかったのかな。
たくちゃん:爆発しちゃったんですね(笑)。
B作:そう、爆発したね。大学に行かず新宿歌舞伎町のジャズ喫茶に朝まで入り浸るようになったんだよ。ドラマ『若者たち』に感動して、思い直して早稲田の「劇団木霊」に入ったんだ。
たくちゃん:いや~、胸にある熱い情熱を演技にのせたい気持ちがあったんですね!
B作:稽古の後に安居酒屋で仲間と酒飲むのが楽しくて仕方なかったなぁ。やっと目覚めた若者って感じで、「あ~生きてる!」って心底思ったよ。
たくちゃん:はじけ飛んだんですね(笑)。
B作:演劇ばかりやっていたら成績はガタ落ちで、「もう就職はできない、俳優になるしかない」って決心して中退しちゃったわけ。俳優で食べる方がずっと大変なのにね(笑)。
勢いと手探りではじめた劇団「東京ヴォードヴィルショー」
たくちゃん:大学中退した後は、どういう経緯で劇団を立上げることになったんですか?
B作:「自由劇場」に研究生で入って、裏方をやりながら仲間とフランスの詩小説の芝居をやったんだよね。難しくて面白くないし、客も来ないから嫌になっちゃって、芝居を辞めてスーパーでバイトしてたの。ある日、仲間が「劇団を作ろう」って誘いに来てくれて、「俺がやりたい喜劇をやれるならいい」って言って5人で「劇団東京ヴォードヴィルショー」を結成したんだよ。
たくちゃん:最初はどんな活動をしてたんですか?
B作:当時テレビで人気の漫才とコントを繋げたような喜劇をやりたくて研究してやってみたけど、そりゃ惨憺たるもんだった。月替わりのコントを毎月公演しても1年間全くウケなかったな……。1時間半誰も笑わないの。ところがある日、コントの殴るシーンで当たり所が悪くて相方が鼻血出しちゃったんだよ。そしたら客席から「おー」って声が上がってね、それが初めてのお客さんの反応だよ!
たくちゃん:あはは! それでどうなったんですか?
B作:そうだ、笑わそうと考えていたからいけないんだ、驚かすことも必要だって気が付いて、アクションの中にお客さんを驚かす工夫を次々に入れてったら、徐々に笑いに繋がっていったんだよね。
たくちゃん:すごい、本当にゼロから見つけた新しい感性ですね。
B作:2年目にようやくお客さんが入り始めて、席が足りなくて補助席を出すまでになって、ホントに嬉しかったよ。
たくちゃん:昔は補助席が出るのは劇団のステイタスでしたよね。今は消防法に触れるから無理ですけど。
B作:そうね、補助席が出て「これで一人前だ」っていう感覚はあったな。青山の「VA N99ホール」で公演したときには、永六輔さん、渥美清さん、堺正章さんも並んで観てくれるようになって、「俺たち売れた!」って調子に乗ったな(笑)。
たくちゃん:三谷幸喜さんもずっと脚本を書いていますよね。
B作:そう。90年代の若手の頃から書いてもらっていて長い付き合いだね。‶芝居は脚本が命”って思っているから、売れっ子になった今でもうちの劇団には書いてくれるのがホントに嬉しいね。
欽ちゃんとの出会い~名珍エピソードが連発!
たくちゃん:萩本欽一さんとはどのような出会いだったんですか?
B作:大将(萩本欽一さんの愛称)は最初のインスピレーションで決める人なんだよ。うちの劇団員の山口良一くんが『欽ドン』でお世話になっているから挨拶に行ったの。怖い人だって聞いていたから、真面目な態度であまりしゃべらずにいたんだけど、なぜか気に入ってもらってテレビに出ることになったんだよね。
たくちゃん:初対面で認められるのって凄いと思います。
B作:でも、うちの劇団では「大将の写真を踏めるか?」とか「大将の笑いとオレたちの笑いは違うんだよ」なんて山口くんをからかっていたのに、まさか自分が大将の傘下に入るとはねぇ(笑)。
たくちゃん:人気バラエティ番組『欽ちゃんの週刊欽曜日』のレギュラーになったわけですが、収録の現場はどんな感じだったんですか?
B作:テレビと舞台では間や演技が全然違うから「B作はセリフが速すぎる! カメラが寄ってからツッコむんだよ、2つ数えてからセリフ言うんだからね」っていつも叱られるんだよ。でも「2つ数える間に言葉が死んじゃうよ」って思ったね(笑)。
たくちゃん:あはは! 舞台はパッションに任せていきますもんね。僕は萩本さんの本やドキュメンタリー映画で勉強していて、いつか会えたらいいなと思ってるんです。
B作:大将は仕事に細かくて厳しいから大変なんだぞ~! 収録後の反省会が長いのなんのって。数時間続いた反省会がやっと終わって、大将の車を見送る時に大将が車に片足をかけた瞬間に質問するバカがいて、そのまま2時間も話が続いた事あったよなぁ。
たくちゃん:あ~、その映像が思い浮かびます(笑)。
B作:大将は「誰しも等しく運を持ち合わせているから、仕事に全ての運を使え」という考えの人で、運を見極めるんだよ。一緒にゴルフに行った時に雨が降っんだけど、大将は喜んでるんだよね「遊びで運を使わなくってよかった」ってさ。
たくちゃん:おお~、考え方が神がかってますね。
息子と舞台に立つ喜び。いつも感謝の気持ちを忘れずに
たくちゃん:近々公演の予定はありますか?
B作:9月にザ・スズナリで『夜鷹と夜警』を上演します。アングラっぽい喜劇で、権力者に気に入られて楽に生きようと思っている人間が、実は楽に生きられない話です。去年話題になったドラマ『あなたの番です』の作家の福原充則さんが「息子さんと親子で舞台やりませんか」って声をかけてくれたのがきっかけで始めた親子共演の第2弾です。
たくちゃん:息子さんも俳優の道に進んだんですね。同じ舞台に立つのはどんな気持ちですか?
B作:俺が俳優の道に誘ったから嬉しかったよ。でも俳優は売れるまで大変でしょ、誘った責任があるから精一杯息子を応援するというスタンスだね。
たくちゃん:息子さんの演技を見てどう思いますか?
B作:ダメな所ばっかり目についちゃうの。他人はそれほど気にならないけど、自分の子は気になって仕方ないから口うるさく言っちゃう。二人で居残り稽古する事もあるし、演出家と俺にさんざんダメ出しされて息子もツライだろうね。
たくちゃん:言ってもらえるのは、ありがたいですよ。投げかけられた課題はずっと意識して取り組んでいれば、いつか答えが出ますから。
B作:俺ね、何十年も応援してくれるスポンサーや支えてくれる人に感謝していて、そういう出会いがあってラッキーだと思うんだ。だから若い子らに「人が応援したくなる人間になれ」,「ズルはするな」っていつも言うの。ズルして勝った者は長続きしないから。それと舞台をやる者は元気な姿を見せなくっちゃ。俺はガンも克服できたし、今でも体を鍛えていて元気だから(笑)。
たくちゃん:はい、深く胸に刻みます! コロナ危機で劇場が閉鎖して気付きましたが、舞台や芝居は人の気持ちを救い、生きる希望を与えますよね。ありがとうございました!
ハツラツとして人を楽しませるトークを連発する佐藤B作さんは、71歳という年齢を感じさせないバイタリティーに溢れた方でした。劇団や番組収録のエピソードに現場は大爆笑の連続。地元高田馬場や早稲田を愛し、いつまでも芝居にかける情熱を持ち続けるB作さんの今後の活躍から目が離せません。
Text: 櫻井実由莉
Photo: 石森 亨
ロケ地:高田馬場ラビネスト
東京NO.1親子 第2回公演
『夜鷹と夜警』
2020年9月11日(金)~9月22日(火・祝)
■会場:下北沢 ザ・スズナリ
■入場料(全席指定/税込)
前売・当日 4,900円(★早割 4,500円) 29歳以下 3,000円
※「29歳以下」は、ぴあのみの扱い。★早割9/11~9/16
[主催]東京NO.1親子
[作・演出]福原充則
[協力]東京ヴォードヴィルショー 空 アスタリスク ノックス
[制作協力]プラグマックス&エンタテインメント
■お問合せ:東京ヴォードヴィルショー
03-3227-8371(平日11:00~18:00)
チケット発売日:2020年7月25日(土)AM10:00より
●チケットぴあ ●ローソンチケット ●イ-プラス ●Confetti(カンフェティ)にて発売
ゲストプロフィール
1949年2月13日生/福島県出身。
早稲田大学在学中に演劇活動を始める。1973年「劇団東京ヴォードヴィルショー」を結成。現在も主宰としてテレビドラマ、映画、舞台など幅広く活躍。1986年「吉ちゃんの黄色いカバン」で第21回紀伊國屋演劇賞・個人賞、2004年に第1回喜劇人大賞特別賞、2013年「パパのデモクラシー」「その場しのぎの男たち」で第48回紀伊國屋演劇賞・団体賞を受賞。主な出演作はテレビ「八重の桜」「渡る世間は鬼ばかり」、映画「男はつらいよ」、舞台「ヘンリー四世」など。
■ 劇団東京ヴォードヴィルショー公式サイト
http://vaudeville-show.com