『ホモ・サピエンスの涙』+『天国にちがいない』
THE MEIGAZA Vol.45
今回の作品は、2019年の話題作2本立て。ヴィネチア国際映画祭銀熊賞受賞、“映像の魔術師”ロイ・アンダーソン監督作品と、カンヌ国際映画祭W受賞、独特の映像美で中東問題を描くエリア・スレイマン監督作品の豪華ラインナップです!
『ホモ・サピエンスの涙』
©Studio 24
『天国にちがいない』
© 2019 RECTANGLE PRODUCTIONS
‒ PALLAS FILM
‒ POSSIBLES MEDIA II
‒ ZEYNO FILM ‒ ZDF
‒ ZEYNO FILM ‒ ZDF
TELEVISION CORPORATION
今回早稲田松竹で上映する作品は独特の語り口を持った映画を作り続けてきた監督たちの最新作を二本立てでお届けします。スウェーデン映画界の巨匠にして世界中の映画監督から愛される“映像の魔術師”ロイ・アンダーソン監督の『ホモ・サピエンスの涙』。そして「パレスチナ系イスラエル人」という出自を持ち、パレスチナ問題や中東問題を諧謔精神たっぷりに描き続けてきたエリア・スレイマン監督が10年ぶりに作り上げた『天国にちがいない』です。 ロイ・アンダーソン監督が世界中の監督たちに尊敬されるのには、最新のCGテクノロジーをほぼ使わずにスタジオに巨大なセットを組み、模型や手描きのマットペイント(背景画)を多用するアナログを極たこの撮影の方法にあります。今では手間がかかりすぎて誰もやらないような方法でまるで絵画のような映像と哲学的なユーモアをちりばめて築き上げられた作品世界は観客を一目で虜にします。エリア・スレイマン監督は今日においても複雑さを極める中東問題をキートンやチャップリンのように監督自ら演じる無口な男の視点を通して描き出します。この男が歩けば行き当たるのはパレスチナ的な問題ばかり。そのさりげないタッチに苦悩を抱えた監督の虚しさや優しさ、問題を見逃さない厳しさが滲みでていて、つい胸が詰まるような気持ちになります。どちらも人間の空虚な一面を描きながらもユーモアとペーソス溢れる作品たちです。ぜひこの機会にご覧ください。
7月24日(土)~7月30日(金)
『ホモ・サピエンスの涙』+『天国にちがいない』2本立て上映
ホモ・サピエンスの涙 ABOUT ENDLESSNESS
(2019年/スウェーデン、ドイツ、ノルウェー/76分)
監督・脚本 ロイ・アンダーソン
出演 マッティン・サーネル/タティアーナ・デローナイ ほか
2019年第76回ヴィネチア国際映画祭銀熊(監督)賞
天国にちがいない IT MUST BE HEAVEN
(2019年/フランス、カタール、ドイツ、カナダ、トルコ、パレスチナ/102分)
監督・脚本 エリア・スレイマン
出演 エリア・スレイマン/ガエル・ガルシア・ベルナル ほか
2019年第72回カンヌ国際映画祭特別賞&国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)W受賞