『医療イノベーションの本質 破壊的創造の処方箋』
MY本 Vol.48
健保組合をクライアントに保健事業のDX化を通じて医療の合理化を目指すスタートアップ企業「メドケア」代表の明石氏。本著と出会ったのは勤務医をしながら起業し、同時に早稲田大学ビジネススクールに入学した2015年頃。当時、起業時のビジネスからピボット(転換)を考えていたそう。
「破壊的イノベーション」の提唱者として、世界的に名高い経営学者クリステンセン氏らが、手頃な価格、高品質、アクセスしやすい医療サービスの実現には、従来の価値観やビジネスモデルから脱却する「医療システムのディスラプション(破壊)」が不可欠であることを論じた本著。明石氏は数回読み返し、訳者にも会い、原著も読み込み現在のビジネスモデルに到達したという。「健保組合が医療のチェック機能になって、合理的な受診を促すような仕組みを作りたいんです。例えば、慢性疾患には維持管理が大切ですが、医療の役割分担がなされて診断と維持管理の病院が分かれるべき。そこに私たちがオンライン診療を提供することで、健保組合が負担している医療コストが下げられないかと考えています」と話す。
「この本を通じて医療関係者はもちろん、一般の患者さんにも医療の未来はこのままで本当にいいのか?と感じてもらいたい」と明石氏は語る。超高齢化社会に突入し、社会保障費の増大が続く日本。パンデミックで医療現場に注目が集まっている今こそ、数十年後を見越した聖域なき医療のイノベーションが求められているのだろう。
「破壊的イノベーション」の提唱者として著名な経営学者クリステンセン氏(ハーバード・ビジネススクール教授ら)が描く、医療改革の指南書。
メドケア株式会社 代表取締役
明石 英之さん
医師。北里大学医学部医学科、早稲田大学大学院ビジネススクール卒(MBA)。国立病院機構千葉医療センター、君津中央病院、在宅医療クリニック院長等を経て、2015年メドケア株式会社を設立。
☆メドケア株式会社
https://www.medcare.jp/