THE MEIGAZA Vol.54 〜早稲田松竹 映画コラム 〜 『EO イーオー』
THE MEIGAZA Vol.54
10/28(土)~11/3(金)『EO イーオー』
今回ご紹介するのはポーランドの巨匠イエジー・スコリモフスキ監督の最新作『EO イーオー』です。パフォーマー・カサンドラのパートナーとして生活していたロバの「EO」は、ある日動物愛護のデモによってサーカス団から連れ出され、あてどなく放浪することになります。複数の馬が走る姿を輸送される車の中から見つめるEOの憧れにも似たあの瞳をどう言い表せばいいのでしょう。舞台に立つ心優しきカサンドラの姿、旅行く先々で遭遇したサッカーチームや若いイタリア人司祭、伯爵未亡人。純粋無垢なロバの視線だからでしょうか、EOの瞳を通して見る世界や出会う人々の姿は言葉で語られたり、説明されたりすることのない多くの感情を刺激します。
88分という最近では短めの長さの作品でありながら、前作『イレブン・ミニッツ』で11分間に起きた複数の出来事を描いたのと同様に、いくつもの人生の関わりや社会の様相をシンプルに描き出すスコリモフスキ監督の映像が、EOの瞳をまるで観客一人一人が想像した物語を映しだす鏡のように変えてしまうのです。
映画史上最も涙を誘うロバ映画、ロベール・ブレッソン監督の名作『バルタザールどこへ行く』(1966)にインスパイアされて製作されたというこのロバ・ロードムービー。世界最高の作家の紛れもない傑作を是非お見逃しなく。
10/28(土)~11/3(金)
★二本立て上映
『EO イーオー』『 遺灰は語る』
★レイトショー
『マルケータ・ラザロヴァー』
『EO』
2022年/ポーランド・イタリア/88分/DCP
第75回カンヌ国際映画祭審査員賞・作曲賞受賞/ 全米映画批評家協会賞外国語映画賞・撮影賞受賞
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