『鈴木清順 監督特集』
THE MEIGAZA Vol.17
鈴木清順。御年91歳、日本映画界の異端。大袈裟だと思うかもしれないが、こう書いて見事に当てはまる人はなかなかいない。「わけのわからない映画を撮る監督はいらない」と日活を解雇されて10年のブランクを経ても、不死鳥のように映画界に舞い戻ってきた彼。それを知っていれば、年齢にも関わらずいつまた復活するかと期待してしまう。
売れ線を狙う日活からの「スキャンダラスかつ名誉ある“離脱”(引用:ジム・ジャームッシュ)」。一体なにが問題だったのか、それはカテゴリーにとらわれることなく、自前の美意識から創りだされる「清順美学」と呼ばれる作品世界の独創性による。停滞させることなく惹きつけるサスペンスフルな語り口。ユーモアたっぷりのキャラクター(憎めない悪人たち!)。アイディアに溢れた「殺しのスタイル」や喧嘩、拷問シーンなどに影響を受けたと公言する映画監督は多い。そりゃそうだ。話がわからなくたって(と言ってもそんなことは全然ない)、意味がわからなくたって(といっても意味は気にならない)、とにかく鈴木清順の映画はかっこいい。一度はまれば二度と抜け出せなくなる「清順美学」。その開花とも言われる「野獣の青春」を含む、油の乗り切った日活時代の4本をどうぞお楽しみください。
7月26日(土)7月28日(月) ★3日間上映
東京流れ者(1966年 日本 83分)
出演:渡哲也/松原智恵子
けんかえれじい(1966年 日本 86分)
出演:高橋英樹/浅野順子
7月29日(火)8月1日(金) ★4日間上映
刺青一代(1965年 日本 87分)
出演:高橋英樹/花ノ本寿
野獣の青春(1963年 日本 92分)
出演:宍戸錠/木島一郎/渡辺美佐子