第二十一場 ゲスト:サンプラザ中野くん
ジモア宣伝隊長HEY!たくちゃんのババくる!?
馬場在住のものまね芸人HEY!たくちゃんが地元を紹介! 今回のゲストは、爆風スランプのデビューから30周年を迎えたサンプラザ中野くん。30周年を機に人気お笑いコンビ・バイきんぐの小峠英二さんと新ユニット「坊坊主(ボーボーズ)」を結成。8月26日に発売した1stアルバム『励ます』の制作秘話から早稲田大学時代の想い出話まで、「ココだけの話」にたくちゃんが迫ります!
早稲田駅のすぐ近く、土壁やタイルのインテリアがお洒落な夏目坂の隠れ家ダイニングバー「Bar Brasserie Vitis」にて。シックな雰囲気の店内で、マスターの珠玉の一杯をいただきながらトークがスタート!
たくちゃん:このお店、学生街とは別世界の隠れ家なんです。
中野くん:時間がゆったり流れていていいね。実は学生時代、夏目坂に住んでました(笑)。このお店のすぐそばです。
たくちゃん:そうなんですか!この辺は変わりましたか?
中野くん:そんなに詳しくなくて。というのも夏目坂に住んでる頃にはデビューしてて、大学にも通ってなかったし…(笑)。留年中の25歳の時でしたが、85年の武道館初ライブの後に、そのまま汗だくでオールナイトニッポンへ行くような生活で。翌日、仕事で全員集合したらマネージャーに「お昼のお弁当600円まで!」って言われました。あ~、武道館でても、これが現実なんだな~って(笑)。
たくちゃん:でもなんで除籍まで大学にいたんですか?
中野くん:親がもしバンドがダメになったら、大学くらい出ておくべきだってことで…。
たくちゃん:早稲田大学の除籍は、勲章っていいますよね(笑)。 著名人で、早稲田除籍の方たくさんいますし。
デビュー30周年を迎えて、新ユニットデビュー。
たくちゃん:ところでその衣装、インパクトありますねえ。
中野くん:ソレ、いまごろ聞く?(笑)。これデビュー30周年で結成した「坊坊主(ボーボーズ)」のミュージックビデオで着た衣装です!
たくちゃん:なぜ、バイきんぐの小峠さんだったんですか?
中野くん:同じ事務所に「BABY METAL」がいて、それなら「メタ ル」と「ハゲ」の融合で『励メタル』ってのも面白いねってことになり…。小峠さんはとてもいい声で、僕と声の相性がいいんです。ホントのところは、頭の形とほうれい線の深さが似てるよねってのが理由だけど(笑)。小峠さん、まだ39歳なのにね。
たくちゃん:ミュージックビデオでは、「Free HAGE(フリー励)」って 看板を持って街頭に立ってましたよね?
中野くん:そう。原宿、新橋、浅草で撮影しました。衣装にメッセージを書いてくれた人には「僕達のツルツルの頭が触れる」という特典付きでね(笑)。
たくちゃん:なんか、ご利益ありそうで拝みたくなります。
中野くん:皆さんありがたがってくれました(笑)。小峠さんは、女子高生から「頭がベタベタしてる!」と言われてヘコんでたけど(笑)。
たくちゃん:これ、渋谷によくいる「FREE HUGS(フリーハグ)」が ネタ元ですか?
中野くん:そうそう。ハグで抱き合うより、ハゲ頭を触るほうが日本人にはハードルが低いかな~ってことで「Free HAGE」。本当はアメリカ映画のように、いい歳した親子が抱き合うシーンっていいですよね。親は小さ い頃から子どもをハグしてきて、大きくなるとできなくなって寂しく思っているのかもしれない…。自分も親にハグされていたのに、いつの間に恥ずかしく感じるようになって…、日本人にはなかなか乗り越えられないわけです。でも数年前のある日決心して母親をハグしてから、いまは実家に帰るたびにハグしてます。親も嬉しそうだし、お互い幸福感を感じます。心残りは亡くなった父親が生きているうちにハグできなかったことかな。
たくちゃん:僕も同じこと思っていたんですけど、そこまでできなくて…。帰省するたびに親と握手はしますね。
中野くん:握手だっていいんだよ。僕の場合は壁を乗り越えるために「親とハグすると運が良くなる」って、自分にすり込んだんです。大人になってから、親と触れあうことって大事だと思う。「ハグしたいときに親はなし」ってことにならないように…。
たくちゃん:いや~、名言ですね。中野くんの太文字語録ですね。
曲やネタづくりのエネルギーの源は、失恋!?
たくちゃん:パワーの源って何ですか?僕の場合は失恋です(笑)。
中野くん:すっごい分かる。僕も早稲田受験も、バンドを頑張ったのもフラれた彼女を見返してやりたいってとこからだから(笑)。いまでは心から感謝してるけどね。
たくちゃん:僕は中学時代にフラれた子をいつか見返してやる!って思って野球部に入ったし、未だに悔しさをバネにお笑いやラーメン屋やってます。
中野くん:中二病だ(笑)。45歳すぎると、きっと感謝できるよ。
たくちゃん:僕、野球部時代にずっと爆風スランプさんを聴いていたんです。今日も「ザ・ベストテン」で『無理だ!』を歌って大暴れしているネット動画を観てきて、爆風スゲー!って。
中野くん:あれはホントすごかった。歌詞間違えたんだけどね(笑)。
たくちゃん:パワーがハンパないです。今、あそこまでやるバンドはいないですよ。
中野くん:「坊坊主」もそれくらいの破壊力を目指してます。小峠さんといると新しいエネルギーが出てくるんだよね。
たくちゃん:守りに入っちゃいかん!ってメッセージを感じます。
中野くん:それはあります。30周年なら爆風スランプ再結成すれば?って話もあるけど、新しいチャレンジで、攻めてます!
たくちゃん:つねに新しい道を開拓してますよね。
中野くん:いま爆風をやっても時代の先端で輝くことではないし、それはロックじゃない!って思う。お笑いだって同じでしょ?
たくちゃん:そうですね。僕も昔のネタでなく、新しいネタをもっと磨こうって思います。
中野くん:切り捨てる覚悟だよね。自分がずっと輝き続けていれば、爆風スランプの昔の曲も長く輝きを保てるわけです。
たくちゃん:格闘家みたいですね。新しい技を磨くと、昔の技も効くようになるって言ってる格闘家の方がいました(笑)。
「励まし合う」ことができる社会へのメッセージ。
たくちゃん:中野サンプラザでライブを開催したことってあるんですか?
中野くん:実はなくて。だから「坊坊主」で、中野サンプラザでライブをやるのが目標です。
たくちゃん:これからも進化し続けていくんですね。
中野くん:もちろん!でも、進化しすぎると着いて来られなくなっちゃうから、ほどほどに(笑)。
たくちゃん:最後にジモア読者へメッセージを。
中野くん:坊坊主の合い言葉は「励ましあってるかーい?ボーボー!」なんだけど、これからの時代は「励まし合う」がテーマだと思ってて。世界中で競争が過剰になってるからね。
たくちゃん:僕も新しいものまねのネタやラーメン屋の経営について考える時、どうしたら勝てるか常に意識してるかも。
中野くん:そうでしょ。でも、いいものが生まれたり、問題を解決できたりする時って、勝ち負けよりも励まし合うことによって皆が繋がって、アメーバのように自在に動けたりする時だったりする。
たくちゃん:確かにいいネタを思いつく時って、仲間とリラックスして話している時が多いです。
中野くん:世界中で貧富の差が拡がっている格差社会でしょ。そんな時代こそ「競うよりも、励まし合っていくべきじゃないか」と思った。世の中を見ていて「強いカリスマの主導でなく、多様性から新しい時代は創られていくんじゃないか」って思うんです。
たくちゃん:う~ん、深い。歌詞のすべてにメッセージが込められているからこそ、歌が心と身体に沁みるんですね。今日は本当にありがとうございました。
デビュー30周年を迎えるサンプラザ中野くん。日々の生活や社会へのさまざまな見地を歌詞にのせて発信しているだけあり、記事には収まらないほどの含蓄ある名言の数々が飛び交う取材となりました。新ユニット「坊坊主」としての新たな挑戦も爆風スランプ時代からのロック魂を失わない彼の芯の強さかと。31年目に向かっての絶えない進化も楽しみです!
Photo: Satoshi Hishida
Text:Momoko Kato
ロケ地:Bar Brasserie Vitis(ヴィティス)
ゲストプロフィール
1960年8月15日生まれ/山梨県出身。
早稲田大学政治経済学部除籍。日本を代表するロック歌手。大学在籍中の1985年に爆風スランプのヴォーカリストとしてデビュー。1988年『Runner』が大ヒット。今年デビュー30周年を迎える。ロック歌手としての活動に加えて、ラジオのパーソナリティや各種の雑誌連載・小説の執筆など、ソロ・アーティストとしても多方面でその才能を発揮。好きな言葉は“ひとには馬鹿にされておけ”。
☆サンプラザ中野くん公式サイト: http://spnk.jimdo.com/