ジャック・リヴェット追悼特集『 美しき諍い女』
THE MEIGAZA Vol.25
今回の作品は、今年亡くなったジャック・リヴェット監督が1991年にカンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した フランス映画の名作。絵画を描く長回しシーンの緊迫感や映像美も注目の歴史的な名画です。
© 1992 Pierre Grise Productions ‒ France 3 Films Production ‒ A.D.A.C.P. ‒ Paris
ジャック・リヴェットが今年1月29日に亡くなった。第二次世界大戦が終結し、世界中の映画が見られるようになったフランスで、映画を見まくる青年たち(映画狂、シネフィル)から生まれたヌ-ヴェルヴァーグ。 ジャック・リヴェットはその中心的活動である「カイエ・デュ・シネマ」の三代目の編集長を務めた。その見識の深さと洞察の鋭さが支える、映画のための倫理や哲学、厳密に積み上げられていった新たな思想は、ある種の既存の映画に対する批判を繰り広げながら、ヌーヴェルヴァーグの作家たち自身が映画を撮ることで実践されていった。そんな映画はそれまでになかったし、そこには映画愛というだけでは収まらない、映画の新しい姿を発見しようとする映画作家の姿があった。そして、彼らが語る映画のための言葉は、その作品とともに世界中に広がっていったのだ。
今回の特集の中で、ジャック・リヴェットが日本で知られるきっかけになった「美しき諍い女」という作品を上映する。上映時間が4時間にも及ぶこの作品には、リヴェットが向かいあった映画に対する考え方が濃密に塗りこめられている。バルザックの「知られざる傑作」を元にした現代劇で、画家とモデルが向き合いながら絵を描く姿を通して、周囲に起こるさまざまな関係の変容、絵を描くときの考えの道筋までが丹念に作り上げられている作品です。是非、一度ご覧になってください。
8月6日(土)~8月12日(金)
「ジャック・リヴェット追悼特集」内で上映
美しき諍い女(いさかいめ)LA BELLE NOISEUSE
IL CONFORMISTA
監督・脚本:ジャック・リヴェット
出演:ミシェル・ピッコリ/ジェーン・バーキン/エマニュエル・ベアール ほか
第44回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞作