第二十八場 ゲスト:ミラクルひかる
ジモア宣伝隊長HEY!たくちゃんのババくる!?
馬場在住のものまね芸人HEY!たくちゃんが地元を紹介! 今回のゲストは宇多田ヒカルさんのものまねの第一人者、ミラクルひかるさん。たくちゃんとは同世代で、ものまね界を共に生き、リスペクトし合う同志であり戦友。ものまね芸人になる前の衝撃の出会いや人生感、そしてプライベートのことなど、長年の付き合いだからこその、赤裸々トークをお届けします!
高田馬場駅から徒歩5分、馬場の新しい隠れ家「bar我月」にて。まるで山肌を再現したかのような壁面から、絶え間なく流れる水音をBGMに、笑いと感動のアツい語りがスタート!
たくちゃん:ホント久しぶりだけど、見た目変わらないねぇ。
ミラクル:いやいや、もう30代後半になると小股周りがドンドン垂れていくのよ(笑)。それに急にモテなくなったわ。
たくちゃん:ミラクルは、ほんとモテるよね。俺なんかこの前、婚活パーティーに行ってしまったよ……(笑)。
ミラクル:あはは…、芸能人なのに、そういうとこプライドないよね(笑)。あ、でも私も結婚相談所に登録直前かも。
たくちゃん:ミラクルにはじめて会ったのは、確か15,6年前のクラブイベントだったよね。俺が20歳そこそこだった。
ミラクル:覚えてる、かなりの腐れ縁だよね。
たくちゃん:ダンスやDJの後に芸人のコーナーがあって、俺がものまねやってる時に、ミラクルが遅れて入ってきて。
ミラクル:そうそう、私、当時はまだエステで働いている頃で、素人ながらも舞台のあの人より盛り上げられそう!って思ったもん(笑)。
たくちゃん:おい! ふざけんな!(爆笑)
ミラクル:初対面のたくちゃん、色がなかったなー。会場のブルーライトに照らされて、青い人みたいになってた。
憧れて進んだ美容の道で、人生の底辺を味わう
たくちゃん:何がきっかけで芸人になったの?
ミラクル:全く、目指してもなかったねぇ。実家が美容院で、私も美容師になろうと思って上京して。厳しい美容院に就職しちゃって、体がボロボロになっちゃったんだよね。年中無休で休めないし、寝られない、食べられない、殴られる、坊主にされる…。
たくちゃん:えっ!坊主って!?
ミラクル:坊主頭になって顔に落書きして、全身タイツ着て原宿で1日10時間くらい路上でものまね芸披露して客引きしてた。
たくちゃん:全身タイツでチラシ配ってたの!?
ミラクル:そう。これ、あまり話したことなかったんだけどね。で、見世物になって10人くらいまとめて店に連れていって。今となっては笑い話だけど。休めないし、給料8万円でお金もない。そんな過酷な生活で、栄養失調みたいになっちゃって。
ミラクル:そんな時に偶然、地元から上京してきた友達が、表参道で私を見つけて。その子が「これは危ない」って、私の親に連絡して地元に連れ戻そうとしたんだけど、「夢があるから」って帰らないわけ。「洗脳じゃないんだから、目を覚ましてよ」と、友達にすごく説得されて。有休もらって一旦は実家に帰ったの。
たくちゃん:一応、有休制度はあったんだ。
ミラクル:本当は辞めたかったんだけど、辞めたら負けだと思っていたし、美容院にも、「お前、1ヶ月頭を冷やしてこい」とか言われて。それで、養生取って東京に戻ったら、また頭丸刈りにされて。今度はカエル風にされて……。
たくちゃん:えーっ! なにそれ、本当かよ。
ミラクル:さすがに精神的にキツくなって。「もういいや。私は負け犬だ」って思いながら、その店を2年半で辞めて。
たくちゃん:それで、美容院を辞めて芸人に?
ミラクル:いや、やっぱり美容に関わりたくて、エステティシャンになったんだよね。給料はちゃんともらえたけど、今度はダイエット食品とか大量に買う羽目になったりして、また貧乏生活してたのよ。
たくちゃん:あぁ〜。何か買わされそうな感覚が、女の世界っぽいね。
ミラクル:そう。そこで2年くらい働いて。同僚の友達に「あんた、芸人になればいいのに」って言われて、それからだね。
ミラクル流!? 自分に向いている事を見つける方法
たくちゃん:どういう流れで芸人デビューしたの?
ミラクル:その当時は「こんな人生なら死んだ方がマシだ」なんて思っていたから。どうせなら本当に好きなことしてやるって。それで、24歳の時にタレント事務所のオーディションを受けて。そこから一気に人生変わったね。まさか、ものまねでお金もらって食べていけるなんて。
たくちゃん:すぐに『ものまね紅白歌合戦』に出て、一気に売れたよね。
ミラクル:すべて背中を押してくれた友達のおかげ。その時に気づいたの。「本当に好きなこと、自分に向いていることに目をつぶって、それを生業にして行くのはズルい」って、人は無意識で思い込んで生きているんじゃないかって。自分にとって、向いていることに蓋を閉めて、向いてないことに必死になっている人の方が、多い気がする。
たくちゃん:確かに。
ミラクル:私がそうだったから。美容の仕事は好きだったけど、一番ではなかったし、向いてなかったんだと思う。だから、もし同じ状況の人がいるなら「今、好きだと思っている仕事が、自分ができる仕事、向いてる仕事とは限らない。あなたが、ズルいって思うことや羨ましいって思うことをやって生きていけばいいんだよ」って。
たくちゃん:ホントそうだね。イイこと言うなぁ。
ミラクル:当時は自ら辛い所に身を置かなきゃっていう、ドMなところがあったかも。
たくちゃん:まあ、骨は折らないと太くならないし、桜も傷がついた所からキレイな花が咲くっていうじゃん。
ミラクル:おー、いいこと言うね。今、その効果を十分いただいている感じで。当時以上に辛いことないし、充実した10年だったね。でも、もし自分に子供ができたら、同じような苦労はして欲しくないね。女子アナとかになって欲しい!(笑)
たくちゃん:あはは……。でも、昔の辛い経験があるから、幅広いものまねができるのかもね。ミラクルの中にたくさん引き出しがあるから深みのあるものまねができるんじゃないかな。俺なんて、いつも怒ってるから、その引き出ししかないからね(笑)。
ネタ帳を書くのは論文と一緒。芸には日々の苦労が大切
たくちゃん:そういえば、大学の心理学の授業で聞いたのかな。一番なりたくない職業が、本当は向いている職業だって。
ミラクル:え、どうゆうこと?
たくちゃん:僕がなりたくない職業は警察官なのよ。多分、性格的に人に尽くし過ぎそうで、身がもたないから。でも、奥底ではなりたいと思っているのかも。
ミラクル:なればいいじゃない。
たくちゃん:いや。朝から晩までずっと道とか聞かれて、交番に行列できそう。しまいには、現地まで連れてってあげちゃいそうだし。身が持たないでしょ。
ミラクル:あー、なるほど。私も表に立つ芸人って、一番なりたくないと思ってたかも。そういう意味では、裏方のメイクさんとかになりたかった。私、関西出身だからちょっと面白いと「松竹芸能入る? 吉本入る?そうゆう道もあるよ」みたいな話にすぐなるのよ。でも「そんなの、絶対に地獄」って思ってた。
たくちゃん:何で? 笑われちゃうから?
ミラクル:苦労が絶えないでしょ。人を笑わすことは、私にとってすごく現実的なことなの。なんかもう、計算し尽くさないといけない世界だから。ネタ帳書くのは、大学で論文を大量に書くのと同じ感覚で辛そうで……。でも奥底ではずっと気になっているやりたい仕事だったってことかもなぁ〜。
たくちゃん:ネタ帳書くのは、論文と同じか。うまいこと言うなぁ(笑)。
ミラクル:たくちゃんは、急に今の仕事を辞めることになったらどんな仕事にトライする?
たくちゃん:う〜ん、お巡りさん。でも、田舎がいい。都心は嫌だね(笑)。
ミラクル:やっぱお巡りさんなんだ〜(爆笑)。私はイラストレーターかな。一度目指していたことがあって。家から一歩も出ずに描いていたい。
たくちゃん:でも、こんなにしゃべるイラストレーターがいたら、発信力ありすぎて、また表に引っ張り出されちゃうよ(笑)。
ミラクル:あはは……。実は筆記用具が大好きで。お気に入りの筆で、日差しを浴びながら毎日同じ時間に寝起きして描いていたいね。
たくちゃん:ミラクルは、もっと講演会とかした方がいいよ。
ミラクル:実はあるの。昔、母校の中学校でやったときに、シーンとしちゃってさ。それで校長が気を遣って「皆さんここからは、笑っていいんですよ」って(笑)。ほんと、やりずらかったなぁ〜。
たくちゃん:校長、それは言っちゃだめでしょ(笑)。
ミラクル:「なるべく笑うように」っていう雰囲気の中で、ハイレグの衣装でレディガガをやったよ(笑)。
たくちゃん:マジで!? 中学生の前で、刺激が強すぎるでしょ(爆笑)。
ミラクル:そうゆう日に限って、やっちゃいけないって思うことをやっちゃうのよ。もう、なんとも言えない空気だったわ。今度やるなら高校生か20代くらいがいいかなぁ。
たくちゃん:いや、絶対に今やるなら30代女性くらいがいいよ。きっと、その世界でも活躍できると思う。ほんとに、今日はありがとう!
息の合った二人のトークは、思わず時間を忘れてしまうほどの痛快さ。サバサバした印象ながら、常に周囲への気遣いを忘れず、誰に対しても丁寧で誠実な対応するミラクルひかるさんの姿に、スタッフはすっかり魅了されてしまいました。そんなステキな魅力と持ち前の芯の強さで、これからも私たちの心を打つものまねを見せてくれることでしょう。
Text: 追川加奈恵
Photo: 富山淳
ロケ地:bar 我月(wagatsuki)
ゲストプロフィール
1980年4月9日生まれ/兵庫県出身。
ものまね芸人。抜群の歌唱力に裏打ちされた「歌まね」から、本人が憑依したかのような「しゃべりまね」まで、高いクオリティーを誇るレパートリーの数々で、女性ものまね芸人の新境地を開拓。フジテレビ系『ものまね王座決定戦』で優勝,準優勝の経歴をもつ。レパートリーは、宇多田ヒカル、JUJU、持田香織、中島美嘉、松任谷由実、坂本冬美、渡辺真知子、松田聖子、美空ひばり、笠置シズ子、mihimaru GT、工藤静香、新田恵利、竹内まりや、YOU、濱田マリ、浅野温子、篠原涼子、など。
CX「ものまね王座決定戦(2012年夏 優勝)」
CX「爆笑!!そっくりものまね紅白歌合戦」
CX「アウト×デラックス(レギュラー出演中)」 他 多数