『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』 The Post
THE MEIGAZA Vol.33
今回の作品は、メリル・ストリープとトム・ハンクスの初共演によるスピルバーグ監督が異例の早さで製作した意欲作。アメリカ合衆国の4代にわたる歴代大統領が、30年間隠し続けた事実が明らかになるサスペンスです!
©Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC.
1971年、国防総省の機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」の一部がニューヨークタイムズに掲載された。泥沼化するベトナム戦争を国防総省が分析・報告したこの文書には「アメリカが不十分な手段で過大な目的を追求した」と結論づけられていた。この文書の存在は、当時ジョン・F・ケネディからリンドン・ジョンソン大統領へと政権が移り積極的に戦争に介入したことで、反戦の機運が高まっていた国民と政府の間に深い溝を生むことになる。掲載したニューヨークタイムズは国家防衛上の情報を漏えいしたとして、政府に訴えられていた。
本作でメリル・ストリープが演じるキャサリン・グラハムはワシントン・ポストの社主だ。父の会社を継いだ夫が自殺し、当時の経営を任されていた。編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)が残りの文書を独自に入手しその全貌を公表したいと訴えるが、キャサリンは政府に追及されるニューヨークタイムズを横目に、会社を守るか、ジャーナリズムの理念を守るかの選択に迫られるのだ。トランプ政権発足以来、急速に悪化したアメリカ政府とメディアの関係を危惧したスピルバーグ監督が『レディ・プレイヤー1』の撮影を中断してまで撮りあげたジャーナリズムとは一体どんなものか。『ジョーズ』を超える早撮りで公開を急ぐも、さすがの高クオリティを誇るチーム・スピルバーグの、これぞアメリカ映画の底力と言える傑作です。是非お見逃しなく!
8月11日(土)~8月17日(金)
「15時17分、パリ行き」と2本立て上映
『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』 The Post
(2017年 アメリカ 116分)
監督 スティーヴン・スピルバーグ
出演 メリル・ストリープ/トム・ハンクス ほか