『蒼穹の昴』
MY本 Vol.35
「浅田次郎作品はほぼすべて読んでいました。特にピカレスク小説が好きで、物語の中に引き込まれます」と語る森下編集長。この本との出会いは主婦として末期がんで余命宣告をされた夫の母親の介護をしていた頃。夫や義母、義父の気持ちを思いつつも、自分のほぼ全ての時間を看病に投じなければならない自身のどろどろとした感情と、清朝末期を舞台にした小説の中の複雑な人間関係や権謀術の中で清く生きる主人公に気持ちを重ね合わせていたそうだ。
「浅田次郎作品の全般に共通する“お天道様が見ている”というメッセージが好きで、賢明に生きること、嘘をつかないことを自分の意志決定の判断基準にするようにしています」と話す。その後、主婦をしながらパートでシェアオフィスの受付をしていたことをきっかけに、周りの人や環境から結果的に起業に至ったという森下さん。まっすぐに先に人に与える生き方をしているからこそ、きっと周りから相談の声がかかるのだろう。
社内のスタッフやコワークスペースの利用者にアドバイスする時も“正直に生きる”、“誤魔化さない”ということを率直に伝えているそう。「多感な時期の子どもにオススメです。小学校の教科書すべてに浅田次郎作品を掲載すれば、この国の将来は良くなると思うのです(笑)」と話す彼女の目は、まさに正直な眼差しであった。
Text: ジモア編集部
中国清朝末期 の紫禁城を舞台に、政治の実権を握る西太后と二人の若者を主人公に描かれた壮大な歴史小説。
高田馬場経済新聞 編集長 森下ことみさん
有限会社そーほーねっと代表新宿区立高田馬場創業支援センター、シェアオフィス&コワークスペースCASE Shinjuku、三鷹市SOHOパイロットオフィスの三つのシェアオフィスの管理運営者。2018年8月地域の活性化を目指しWEBメディア「高田馬場経済新聞」を創刊。
☆高田馬場経済新聞 https://takadanobaba.keizai.biz/