『高田馬場アンダーグラウンド』
MY本 Vol.40
「高田馬場には青春の屍が埋まっている」という強烈なプロローグからはじまる本著。早稲田大学OBの著者が青春時代を過ごした1970年~80年代を中心にノンフィクションながらもまるで私小説のような手法で、高田馬場の暗部や謎を余すところなく描いている。本著では『鉄腕アトム』が生まれた謎から、フォークの名曲「神田川」の舞台、江戸川乱歩の下宿屋、BIGBOX 開業の秘話など、高田馬場にゆかりのある者なら興味を引き付けられる章が続く。
高田馬場に住みかつ職場もある田中氏が本著に出会ったのは駅前の芳林堂書店でのサイン会。「捉え方は人それぞれですが、冒頭の“ 青春の屍 ”という言葉は創業も含めて、若者たちが集い、チャレンジする人がたくさんいることだと思うんです。必ずしも全てがうまくいくとは限らないけど、それだけこの街には情熱と勢いのある人々が集まっているんですよね」と話す。
高田馬場には多くの学校があり、現在はたくさんの海外の若者たちも街を行き交っている。「彼らが卒業し、また春には新しい人々がこの街にやってくる。青春や思い出が残され繋がっていくところがこの街の魅力であり、ここで活躍したいと思う人々の役に立てるような仕事をしていきたい」と田中氏は語る。高田馬場は街の溢れるエネルギーから、きっとこれからも新しい伝説が生まれ続けていくのだろう。
ノンフィクション作家本橋信宏の東京異界シリーズ第5弾。学生時代から40年間追い続けた高田馬場の暗部と伝説を描く。
ノンフィクション作家 本橋信宏の東京異界シリーズ第5弾。学生時代から40年間追い続けた高田馬場の暗部と伝説を描く。
新宿区立高田馬場創業支援センター 施設長
田中 健一朗さん
中小企業診断士。JBIA認定インキュベーション・マネジャー。新宿区内で創業を目指す方や創業後間もない方を対象としたインキュベーションオフィスの施設長として、運営管理をはじめ、創業相談会やセミナーなどを開催。