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『鹿の王 1』

著者: 上橋 菜穂子 KADOKAWA/角川文庫 刊

MY本 Vol.46

 約600人もの学生を束ねる早稲田祭2021運営スタッフ代表の小野寺さん。ファンタジー小説が好きで中学3年の時に本著を手に取った。当時は素直にファンタジーとして楽しみ、それが大学で西洋史を選択するきっかけの一つにもなったそう。その後、昨年のコロナ禍でふと疫病がテーマになっている事を思い出し、再び読み返したという。

 医療小説でもある本著では、突然謎の病が市井で大流行し、主人公の戦士と医術者が国家の争いや疫病に立ち向かっていく。その様はまさに現在のコロナウイルスの状況とも重なり合い、人間が一朝一夕にはコントロールや解決できない中で、医療従事者の方たちが先行きが見えないものに立ち向かう強さに畏敬の念を感じたという。

 本著のタイトルにもなっている鹿の王。小野寺さんはそのリーダー像に、自分の理想を重ねた。作中で主人公の戦士は、飛鹿の群れは危機に陥ったとき、己の命を張って群れを逃がす鹿が現れ、それを「鹿の王」と呼ぶと話す。群れを支配する者、という意味ではなく、本当の意味で群れの存続を支える尊むべき者”。力ずくでなるのではなく、存続を願い守る理想のリーダー像がそこにはあった。小野寺さんは「上意下達ではなく、現場がこうしたい、ということをすくい上げて共にサポートする組織づくりを目指し代表になりました」と話す。学生・地域・企業の人々と共に作り上げたい、という想いで『それでも、共に。』をテーマに掲げた「早稲田祭2021」。今年はより人と人の繋がりを大切したイベントになりそうだ。

故郷を守るために闘う戦士や謎の病に迫る医術者が、多くの危機に立ち向かうファンタジー小説。本屋大賞と日本医療小説大賞を受賞。

早稲田祭2021運営スタッフ代表

小野寺 佑月さん

早稲田大学教育学部3年。早稲田祭は早稲田3大行事の1つで、例年約20万人もの来場者を誇る。史上初のハイブリッド形式で開催される「早稲田祭2021」は約300の企画数で、2021年11月6日(土)、7日(日)の10:00~17:00に開催。
☆ 早稲田祭の詳細はこちら
公式サイト http://www.wasedasai.net/

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