『魂の経営』著者:小森重隆 東洋経済新報社刊
MY本 Vol.17
株式会社スパイスロード 代表取締役社長 涌井征男さん
タイ料理を中心に20年以上に渡り日本国内にアジア料理文化を拡げてきた、スパイスロードの涌井社長。いずれはタイ本国に独自に生み出したトムヤムラーメンを逆輸入させたい、と想いを強くする中でこの本に出会ったという。
富士フイルムホールディングス会長小森氏が著したこの本には、市場の変化に直面しながら企業の強みを活かし、事業転換していく姿が描かれている。デジカメ普及によりメイン事業であった写真フィルムの需要が激減する中で、自社技術の強みを生かし、化粧品や医薬品という新しい事業に踏み込んでいった富士フイルムの経営の強さ。涌井氏はそこに今なお企業が存続し続ける理由を感じ、その“魂”に感銘を受けた。「何事も魂を持って取り組んでいれば道がブレることはない」飲食業界でも同じことがいえるという。「利益を優先するのではなく、お客様に安全で“魂”の込もった美味しい料理を提供して初めて得られる適正な利潤を永続していくこと」。涌井社長の食への熱い情熱が店や料理に行き届いているからこそ、飲食業という厳しい世界で長年多くのファンを魅了しているのだと言えよう。
「経営者はもちろん、自分の道が見つからない人にも読んでもらいたい」。これからも社会にとって存在意義のある企業であり続けるため、もっとタイ文化を広めたいという涌井社長の『魂の経営』も、とどまるところを知らない。
事業転換を遂げた企業の経営改革とリーダー哲学が詰まったビジネス書。
事業転換を遂げた企業の経営改革とリーダー哲学が詰まったビジネス書。
株式会社スパイスロード 代表取締役社長 涌井征男さん
28歳で喫茶店「OAK」を開店。アジア料理店「東洋食堂」の開店を機に本場タイ料理の追求に心血を注ぎ、独自開発したトムヤムラーメンを看板メニューとする「ティーヌン」を1992年開店。タイ料理を中心に、ベトナム料理「チャオハノイ」など首都圏やタイで24店舗展開中。