「あの黄色いオサルの看板ね、って最近この界隈でちょっと有名になりました」早稲田松竹の横道を覗くと、黄色の外装がその場所を教えてくれる。
創立20年目、馬場に移転してきて16年目。馬場に限らず新宿区内外から訪ねてくるお客様も多いアクト企画。入口を入るとすぐに落ち着いた打ち合わせスペースが広がっている。全国の看板屋を訪れてもこのような打合せスペースを持つところは珍しいのだと、来社した営業マンに言われたことがあるそうだ。「遠くから看板の注文にいらっしゃるお客様も増えましたので、いつでも気軽に入れるスペースを作りました」なんともホンワリとした居心地の良い看板屋へきてしまった。
私たちの生活の中にすっかり溶け込んでいる「看板」だが、看板とはどのような役割を果たすのか尋ねると、「ずばり顔です。店舗の顔。企業の顔」と即答。アクト企画はお客様の想いを汲み取り、お店や企業の「顔」を正しく表現するべく、対応力、機動力を一番におき、お客様のイメージの抽出に時間をかけるという。今は一般の方でも制作物を自作できる時代だが、だからこそ看板の持つ力をより一層向上させたいと考えている。アクト企画の「カンバンコウジョウ」というカタカナ表記には「工場」と「向上」の2つの意味が込められているのだそうだ。
今は看板製作の技術が格段に進歩し、バラエティーに富んだデザインの対応が可能になった。タッチパネル式の案内板や動画形式の看板も珍しくない。しかし、制作過程には依然として確かな技術や豊かな経験が求められる。「大型看板は周囲の環境を見に行き、空間全体を考慮して制作に入ります」
また、アクト企画では環境に優しいラテックスプリンター、HPLatex360をいち早く導入し、様々なニーズに対応できるようにしている。
看板にとどまらず、高田馬場ならではの制作物もあるという。「学生さんからの依頼で卒業記念や応援に使う横断幕を頼まれることもあります」
また馬場は飲食の町。お店の看板の注文も多く、看板デザインが決まると、そのデザインを用いた名刺やメニュー表なども一緒に作ってくださいと言われることもあるそうだ。「トータルで提案できるようにしています」打ち合わせから納品まで、地元ならではの「身近さ」「気軽さ」が着実に顧客を伸ばしているが、地元外の企業様からも多くの依頼があるそうだ。
こうやって意識してみると、カンバンって本当に表情豊かで面白いものなのですね。
テレビドラマの影響か、我が町工場の実力を改めて見直す機会が多い昨今だが、高田馬場でも確かな技術と熱いハートを持つ集団が日々素晴らしい作品を制作していた。オリンピックを4年後に控え、「WELCOME高田馬場」の看板や横断幕でもアクトの実力を目にするようになるだろう。
「仕事でというより、馬場での人との繋がりを大事にしたいので、気軽にオサルを目指して遊びに来てください」プロ集団ながらアクトの社員はふんわりとしたイメージの方が多い。この親しみやすさにほだされて、取材後打ち合わせスペースで、近場の美味しいランチについて楽しくお話させていただいた。なんだか親戚の家にお茶を飲みに来た気分。
皆さんも是非、黄色いオサルの看板屋に立ち寄ってみてください。
平日(月曜日~金曜日)9:30~17:30
土曜日、日曜日、祝日