【早稲田松竹】8/29〜9/4 『シンデレラ(2D・字幕)』『ディオールと私』
今週は、ディオール氏のこの言葉がぴったりな二本立てです。誰もが知っているフランスの老舗ファッションブランド「クリスチャン・ディオール」のオートクチュール・コレクションの裏側を描いた『ディオールと私』。そして、こちらも知らない人はいないディズニーの名作アニメを実写化した『シンデレラ』を上映いたします。
本物のエレガンス、最上級の女性らしさを表現する“クチュリエ(デザイナー)”であり続けることで、戦後の服飾業界に革命を起こしたクリスチャン・ディオール。映画『ディオールと私』は、彼の想いと伝統を支えてきた自社のアトリエで働くお針子たちと、新任デザイナー、ラフ・シモンズの、次の時代のディオールを創りだすための挑戦を追ったドキュメンタリーです。芸術の域にまで高められたファッションが生まれる瞬間、その高揚と苦悩を余すところなく収めています。
納期のタイムリミットが迫っていようが、自分が思う完璧な世界観を表現するためには一切の妥協をしないデザイナーのインスピレーションと、それを的確に具現化していくお針子たちの技術は、執念と真心で一枚の布にモードの魔法をかけていくようです。
一方、ディズニーのプリンセスシリーズ実写版第一作目として世に放たれたのが『シンデレラ』。『白雪姫』から始まったこのシリーズは世界中の人々に夢と希望を与え、アニメーションとしても様々な革新を起こしてきた特別な存在です。アニメーションを現実に置きかえると嘘っぽくなってしまいがちですが、今作はそんな心配は無用。素晴らしい作り手たちによって実写化ならではの豪華絢爛な世界が表現されています。
最もこだわりを感じられるのは舞踏会のシーン。アカデミー賞受賞作品に幾度も関わってきた熟練のスタッフたちが実際にセットを作った重厚感ある大広間は圧巻です。そこで皆が踊り始めると、様々な柄や形のドレスの裾が広がり一気に華やぎます。その中でも、技巧を凝らしたシンデレラの青いドレスは、彼女の佇まいの優雅さや可憐さを最大限に引き立て、ドレスだけで“彼女は特別だ”と感じ取ることが出来るのです。
今週は、美しさの持つ力を感じる事ができる二本立て。そしてその“美”を作っているのは大勢の誇り高い職人の真心です。伝統や歴史を重んじながらも、それを超える新たなステージに挑戦し、ひたむきに情熱を注ぐ彼らの精神にきっと胸を打たれるはず。圧倒的な美しさに満たされる贅沢をどうぞお楽しみください。
CINDERELLA
開映時間 10:30 / 14:20 / 18:10
■監督 ケネス・ブラナー
■脚本 クリス・ワイツ
■撮影 ハリス・ザンバーラウコス
■プロダクション・デザイン ダンテ・フェレッティ
■衣装 サンディ・パウエル
■編集 マーティン・ウォルシュ
■音楽 パトリック・ドイル
■出演 リリー・ジェームズ/ケイト・ブランシェット/リチャード・マッデン/ヘレナ・ボナム=カーター/ソフィー・マクシェラ/ホリデイ・グレインジャー/デレク・ジャコビ/ノンソー・アノジー/ステラン・スカルスガルド/ベン・チャップリン/ヘイリー・アトウェル
■オフィシャルサイト
http://www.disney.co.jp/movie/cinderella.html
★同時上映
『アナと雪の女王/エルサのサプライズ』
幼い頃に亡くした母の「勇気と優しさを忘れないで」という言葉を胸に、心優しいまっすぐな女性へと成長したエラ。まま母と義理の姉妹にいじめられ、“灰まみれのエラ=シンデレラ”と呼ばれながらも、希望を失わず、明るく前向きに生きていた。
そんなある日、エラは森で“キット”と名乗る青年に出会う。彼にもう一度会うため、エラはお城で開かれる舞踏会に行こうとするが、まま母たちによって置いてきぼりに。打ちひしがれるエラの前に現れたのは、フェアリー・ゴッドマザー。彼女の魔法によって美しく変身したエラは、舞踏会でキットと再会し、夢のような時間を過ごし、互いの気持ちを確かめ合う二人。そのとき12時を告げる鐘の音が…。
Dior & I
(2014年 フランス 90分 ビスタ)
開映時間 12:35 / 16:25 / 20:15
■監督・製作・撮影・編集 フレデリック・チェン
■製作 ギヨーム・ド・ロックモーレル
■撮影 ジル・ピカール
■編集 フリオ・C・ペレス4世
■音楽 ハヤン・キム
■出演 ラフ・シモンズ/Diorアトリエ・スタッフ/オマル・ペラダ(声の出演)
■シアトル国際映画祭審査員特別賞受賞/ミドルバーグ映画祭観客賞受賞/トライベッカ映画祭オープニング作品/シドニー映画祭、ワルシャワ国際映画祭他 正式出品
■オフィシャルサイト http://dior-and-i.com/
2012年7月2日、パリ。ディオールの秋冬オートクチュールコレクションの発表は、世界のファッション関係者から注目を集めていた。新しく就任したアーティスティック・ディレクター、ラフ・シモンズの初コレクションがどのような展開になるのか固唾をのんで待っていたのだ。ベルギー出身、ミニマリストとして知られるデザイナーがどのようなドレスをランウェイに出してくるのかを…。
その8週間前、ディオール本社の最上階にまるで宝物のように大事に置かれているアトリエで、ラフ・シモンズ率いるデザイナーたちに紹介されたのは105人の経験豊かなお針子たち。12のコンセプトのもと、150以上のスケッチが描かれ、40年以上の経験を持つ職人たちの手により54体のオートクチュールが完成していく。ランウェイに出る直前まで最善の注意が払われ、100万本の花に囲まれた会場にモデルたちがエレガントなドレス姿で歩き出す――。
1947年にクリスチャン・ディオールのメゾンが設立されてから65年、初めて映画のカメラが入ることを許された。監督は『ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ』の共同監督を務めるなど、新鋭の映像作家として注目されているフレデリック・チェン。昼夜を問わずラフ・シモンズ、お針子たちを追い、彼らの緊張、心配、疲労、そして歓喜の姿を撮影していく。
映し出される貴重な映像はディオールの宝というだけでなく、クリエイティブに携わる人々、ひとつのプロジェクトを完成させるという同じ志をもつ人々にとって必見の映像となっている。そして監督自身、クリエイターのひとりとして彼らへの敬意をこめて撮影に挑んだのである。
世界を魅了するドレスたち、それは一着のドレスが完成するまでに一日一日の作業を丁寧に積み重ねていく人々の熱意が紡がれているからこそのこと。デザイナーとお針子たちの誇りと情熱にあふれた、“真のファッション・ドキュメンタリー”が誕生した。
出典:早稲田松竹映画劇場