【早稲田松竹】03/25(土)~03/31(金)「アズミ・ハルコは行方不明」「溺れるナイフ」
「最近はやりの少女漫画原作の映画ね。ふふん」なんて油断して、この映画を観るのは危険です。とつぜん背後からガツンと殴られたような衝撃を受けることになるでしょう。
『おとぎ話みたい』『5つ数えれば君の夢』などインディーズ映画界で注目されてきた新鋭・山戸結希監督の最新作『溺れるナイフ』のことです。
学生時代から原作の大ファンで「絶対に自分がやりたかった。この子たち(登場人物たち)を他の人に動かしてほしくない」という想いで映画化に挑んだという山戸監督。その原作への強い想いが、映画に圧倒的な「熱」を与えています。
画面のすみずみにまで美しさを追い求める画づくり、他ではみられないような多様な音楽の使い方…。主演の小松菜奈、菅田将暉には細かい表情にまで粘りの演出を見せたといいます。結果、ひとつひとつのシーンがオリジナリティにあふれるものになっています。
「昨今の少女漫画映画をコピーするように、今回の「溺れるナイフ」の映画化に向き合ってしまうと、2次的、副次的、類型的なものにしかならないので。(中略)少女漫画というのはこういうもの、とおもねるつもりはなくて、自分が新しい聖典を作るんだ、そして自分の目で見たものがひとつの古典になるんだ、という気持ちでやっていました。」――山戸結希監督(毎日新聞サイトより抜粋)
そうインタビューで語るように、『溺れるナイフ』はまさに、山戸監督にしか撮れない映画となったのです。
松居大悟監督『アズミ・ハルコは行方不明』もまた「熱」を持った作品です。
『アフロ田中』『私たちのハァハァ』など、31歳ですでに7作品の監督を務めている松居監督。映画だけではなく、テレビドラマの脚本・演出や劇団主宰も手がける、引く手あまたの若手映画監督です。
本作は、ある地方都市を舞台に「28歳の独身OL・安曇春子」「20歳のキャバ嬢・木南愛菜」「謎の女子高生ギャング団」という3世代の女性たちを3つのパートに分けて描く群像劇。松居監督は原作では時間軸通りに描かれているストーリーの時系列を大胆にシャッフル。観客にひとときも油断できない緊張感を与え、物語にドライブ感を生み出しました。
脚本だけではなく、編集段階にいたるまで、何度も何度も構成を練り直したそうです。試みはそれだけではありません。プロジェクションマッピングや、アニメーションを入れ込むなど、面白いと感じたものは片っぱしから詰め込むという「全部乗せ」状態です。
でも実はクランクインの1か月半前に一度、製作が頓挫しそうになるという危機に襲われたといいます。しかし松居監督はあきらめませんでした。
「キャストのスケジュールも押さえてしまっているし、今から準備を始めないと間に合わないけど、撮影を始めてからダメになったら大変なことになるという状況で。でも、もしそうなったら自主映画でもいいからやろうと言って、無理やり踏み込んだんです。その時はめちゃくちゃ攻めましたね」――松居大悟監督(ぴあ中部版WEBより抜粋)
あふれるアイディアと映画への想い。その攻めの姿勢が作品に力強さを与えているのです。山戸監督と松居監督、二人の若き才能の発する熱を、ぜひ感じ取っていただきたいと思います。
(かわうそ)
アズミ・ハルコは行方不明
(2016年 日本 100分 )
2017年3月25日から3月31日まで上映
開映時間
【3/25-27】 10:20 / 14:20 / 18:20
【3/28-31】 12:25 / 16:25 / 20:25■監督 松居大悟
■原作 山内マリコ「アズミ・ハルコは行方不明」(幻冬舎文庫刊)
■脚本 瀬戸山美咲
■撮影 塩谷大樹
■音楽 環ROY
■出演 蒼井優/高畑充希/太賀/葉山奨之/石崎ひゅーい/加瀬亮
■オフィシャルサイト http://azumiharuko.com/
■パンフレット販売あり(700円)
©「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会
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とある地方都市。独身OL安曇春子が突然、姿を消した。その後、街中に春子の顔のグラフィティ・アートが拡散されるという出来事が起きる。そして一方では、少女ギャング団による男性のみを襲う暴行事件が巷を騒がせていて…。
地方都市の独身OL・安曇春子(28)の失踪事件の背景と行く末を、“アラサー、ハタチ、女子高生”の三世代の女の子たちの生き方を浮き彫りにしつつ描いた山内マリコの青春小説を『アフロ田中』『私たちのハァハァ』の松居大悟監督が映画化。
“行方不明の主人公”には『百万円と苦虫女』以来の単独主演となる蒼井優。そしてハタチ世代を代表する女子・愛菜役には、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」で国民的女優となった高畑充希。そのほか大賀をはじめ、葉山奨之、石崎ひゅーいなど若き才能が集結。アニメーションやプロジェクションマッピングなどを取り入れた、めくるめく映像の世界。笑いと毒、スリルと愛に満ちた、これまでにない青春ストーリーが誕生した。
溺れるナイフ
(2016年 日本 111分 )
2017年3月25日から3月31日まで上映
開映時間
【3/25-27】 12:15 / 16:15 / 20:15
【3/28-31】 10:20 / 14:20 / 18:20■監督・脚本 山戸結希
■原作 ジョージ朝倉「溺れるナイフ」(講談社「別フレKC」刊)
■脚本 井土紀州
■撮影 柴主高秀
■音楽 坂本秀一
■出演 小松菜奈/菅田将暉/重岡大毅/上白石萌音/市川実和子/ミッキー・カーチス
■オフィシャルサイト http://gaga.ne.jp/oboreruknife/
■パンフレット販売あり(720円)
©ジョージ朝倉/講談社 ©2016「溺れるナイフ」製作委員会
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15歳の夏。東京から遠く離れた浮雲町に越してきた、人気モデルの望月夏芽。退屈でウンザリするその町で、夏芽はコウと呼ばれる少年・長谷川航一朗に出会う。傲慢なほどに激しく自由なコウに、反発しながらも、惹かれてゆく夏芽。コウもまた、夏芽の美しさに対等な力を感じ、やがてふたりは付き合いはじめる。「一緒にいれば無敵!」という予感に満たされるふたり。しかし浮雲の夏祭りの夜、全てを変える事件が起きる―。
講談社「別冊フレンド」に連載され、洗練された世界観とリアルな心理描写で熱狂的に愛され続ける、ジョージ朝倉の同名少女マンガを映画化。小松菜奈、菅田将暉のダブル主演に加え、重岡大毅、上白石萌音という最旬キャストが集結した。監督は日本映画界最注目の新鋭・山戸結希(『おとぎ話みたい』『5つ数えれば君の夢』)。気高く危うい10代の破裂しそうな恋と衝動を描いた、誰も出会ったことのないラブストーリーがここに誕生した。
上映作品によりタイムテーブルが異なりますので、週により開館・閉館時間は異なります。