【早稲田松竹】9/30(土)~10/6(金)「愛と哀しみのボレロ」「男と女」
★連日、『男と女』最終回上映前に、クロード・ルルーシュ監督の幻の短編『ランデヴー』(上映時間約9分)の上映がございます。
1937年パリ生まれ。少年時代からカメラに強い関心を持ち、13歳の時の短編がアマチュア・シネアスト・フェスティバルに入賞。18歳で渡米した際、2本の短編映画を撮影。1960年弱冠22歳で制作会社Le Films 13を設立。
1966年『男と女』を自主製作映画として完成させ、カンヌ映画祭グランプリ、アカデミー賞外国語映画賞、オリジナル脚本賞など、数多くの名誉ある 賞を受賞し、一躍時の人となる。 その後、『パリのめぐり逢い』(67)、『白い恋人たち』(68)など次々と話題作を世に送りだす。 1981年の『愛と哀しみのボレロ』ではフランスを代表する監督としての地位を確立。それ以降も精力的に多くの映画を次々と発表し続けている。最新作は 『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』(15)。
行きずりの二人(63)
女と拳銃(64)<未>
女を引き裂く(65)
男と女(66)
パリのめぐり逢い(67)
ベトナムから遠く離れて(67)
白い恋人たち/グルノーブルの13日(68)
愛と死と(69)
あの愛をふたたび(70)
流れ者(70)
恋人たちのメロディー(71)
冒険また冒険(72)
時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日(73)
男と女の詩(73)
マイ・ラブ(74)
わが心の歌(74)
マリアージュ(74)<未>
“猫”警部事件簿(75)<未>
愛よもう一度(76)
ランデヴー(76)
レジスタンス/反逆(76)<未>
2人のロベール/花嫁募集中(78)<未>
夢追い(79)
愛と哀しみのボレロ(81)
恋に生きた女ピアフ(83)<未>
ヴィバラビィ(84)<未>
遠い日の家族(85)
男と女 II(86)
アテンション・バンディッツ(86)<未>
ライオンと呼ばれた男(88)
夏の月夜は御用 (88)<未>
キング・オブ・アド(91)
レ・ミゼラブル(95)
男と女、嘘つきな関係(96)
しあわせ(98)
11'09''0/セプテンバー11(02)
男と女 アナザー・ストーリー(02)<未>
それぞれのシネマ ~カンヌ国際映画祭60回記念製作映画~(07)
アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(15)
『男と女』は当時フランス映画界を牽引していた、いわゆるヌーヴェルヴァーグ勢から必ずしも歓迎された作品ではありません。ゴダールやトリュフォー、リヴェットらが成熟して新しい一歩を踏み出していた時期に、このひたすら美しいメロドラマは俗っぽい作品と見なされたのです。
しかし現在の視点から見れば、本作が歴史的一本なのは疑う余地がありません。クロード・ルルーシュ監督の音楽と映像が美しく絡み合う流麗なスタイル は、現在の映画のあり方に決定的な影響を与えました。それだけではありません。フランシス・レイは本作で初めて映画音楽を手掛けて巨匠への道を歩み出しま したし、出演者のピエール・バルーは資金難だった監督を助けるために「サラヴァ」レーベルを設立、その後音楽ファンが愛するユニークなレーベルに成長させ ます。
本作で一躍有名になったジャン=ルイ・トランティニャンは数々の映画史に残る傑作に出演する名優になりますし、当時すでにスターだったアヌーク・ エーメも製作に惜しみなく協力し(スタッフが足りない時は照明アシスタントをつとめたとか)、結果その大人の魅力を永遠のファッションアイコンにします。 幾多の才能がこの時に巡り合わなければ、その後の世界は今よりちょっぴりつまらないものになっていたかもしれません。決して潤沢ではなかった状況でこの奇 跡を実現させたルルーシュが、ヌーヴェルヴァーグ作家より野心を欠いた演出家と今や誰が言えるでしょうか。
それから15年後の『愛と哀しみのボレロ』でもルルーシュの流麗なスタイルは健在です。様々な都市の音楽家とその周辺人物の運命を45年にも及ぶ長 いスパンで描く歴史大作なのですが、トーンは終始ちっとも重くならず、美しいメロディと共に心地よいスピードで走り抜けていくのです(この頃には映画音楽 の巨匠になっていたレイとミシェル・ルグランの夢の競演にも心躍ります)。それでいて、簡潔で省略に満ちた語り口が、ただ口当たりがよいだけでなく人生の 残酷さや儚さも見事に浮き彫りにするところに、この映画独特の凄みがあります。大勢の人物ひとりひとりの表情を愛おしむようなまなざしから生まれるポエ ジーと、壮大なドラマを(一見)さりげなく共存させてしまうルルーシュの繊細で大胆な手つきには脱帽です。
ファンとしては残念ですが、現在ルルーシュが日本で積極的に紹介され注目されることはまれになっています。今回の特集がこの不世出の才能に触れる機会になって頂ければ嬉しいです。
(ルー)
愛と哀しみのボレロ デジタル・リマスター版
Les Uns et les Autres
(1981年 フランス 185分 )
2017年9月30日-10月6日上映
開映時間
【9/30(土)・10/1(日)】
11:55 / 17:15
【10/2(月)~10/6(金)】
10:40 / 16:10
■監督・製作・脚本 クロード・ルルーシュ
■撮影 ジャン・ボフェティ
■音楽 ミシェル・ルグラン/フランシス・レイ
■出演 ジョルジュ・ドン/ダニエル・オルブリフスキ/ロベール・オッセン/ジェラルディン・チャップリン/ジェームズ・カーン/ニコール・ガルシア/エヴリーヌ・ブイックス/ファニー・アルダン/マーシャ・メリル
■1981年カンヌ映画祭フランス映画高等技術委員会賞(音楽)/1982年セザール賞作品賞・音楽賞・録音賞・編集賞ノミネート
■オフィシャルサイト
http://mermaidfilms.co.jp/bolero/
■パンフレット販売なし
©1981 Les Films 13 - TF1 Films Productions. All Rights Reserved.
ベルリン、モスクワ、パリ、ニューヨークを舞台に、ルドルフ・ヌレエフ(バレエダンサー)、エディット・ピアフ(歌手)、ヘルベルト・フォン・カラヤン (指揮者)、グレン・ミラー(音楽家)といった芸術家たちをモデルにつくられた超大作メロドラマ。第二次世界大戦をはさみ数々の困難をくぐり抜けてきた音 楽家たちのドラマチックな人生模様が、見る人の心を揺さぶる。
男と女、親と子の絆を高らかにうたいあげた本作の監督は、流麗な音楽と美しい映像をシンクロさせた演出で右に出るものはいない、フランスを代表する名匠クロード・ルルーシュ。クラシック、ジャズ、シャンソンといった多彩なサウンドを作品に提供したのはミシェル・ルグラン(『シェルブールの雨傘』) とフランシス・レイ(『男と女』)。映画音楽の歴史に名を残すふたりによる奇跡のコラボレーションは必聴だ。そして伝説のラスト15分を飾るのは、超絶技 巧のテクニックで舞い踊る天才バレエダンサー、ジョルジュ・ドン。まさに欧米のスターたちが繰り広げる愛のアラベスクである。
音楽への情熱に導かれ、主要キャストがパリのトロカデロ広場に集まるクライマックスは、フランス映画史に残る名場面。モーリス・ラヴェル作曲、モーリス・ベジャール振付による現代バレエの名作“ボレロ”の一大スペクタル・シーンは、生涯忘れられない感動を呼び起こす。
男と女 製作50周年記念 デジタル・リマスター版
Un homme et une femme
(1966年 フランス 104分 )
2017年9月30日-10月6日上映
開映時間
【9/30(土)・10/1(日)】
10:00 / 15:20 / 20:40
【10/2(月)~10/6(金)】
14:05 / 19:35
■監督・製作・脚本・撮影 クロード・ルルーシュ
■脚本 ピエール・ユイッテルヘーベン
■編集 クロード・バロア
■音楽 フランシス・レイ
■出演 アヌーク・エーメ/ジャン=ルイ・トランティニャン/ピエール・バルー/ヴァレリー・ラグランジェ/スアド・アミドゥ/アントワーヌ・ジレ
■1966年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞/1967年アカデミー賞オリジナル脚本賞・外国語映画賞受賞/1967年ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞・主演女優賞受賞/1967年英国アカデミー賞主演女優賞受賞
■オフィシャルサイト
http://otokotoonna2016.com/
■物販情報
・パンフレット(800円)
©1966 Les Films 13
パ リで一人暮らしをするアンヌとカーレーサーのジャン=ルイは、ドービルにある同じ寄宿舎に娘と息子を預けていることから知りあい惹かれあった。どちらも最 愛の人物を亡くしており、その哀しい偶然に心がふさいでいくアンヌを見たジャン=ルイは「来週、モンテカルロ・ラリーに出場する。終わったらモンマルトル 1540へ行く」と、思いをかき立てるように告げる。ジャン=ルイは果たしてモンマルトルにくるのだろうか? アンヌは過去を忘れることができるのだろうか? 男と女のうつろう想いは、愛の行方は…。
公開当時29歳だった若き監督クロード・ルルーシュは、俳優たちの演技やスピーディなレース展開にリアリティを追求しながらも、流れるようなカメラワーク とカラー&モノクロームを使い分けた大胆な時間のモンタージュを駆使してロマンチックな愛の世界をつくりあげた。その世界観を、当時からの朋友で あった名匠フランシス・レイによる限りなく甘美なメロディが彩り、“運命の出会い”に魅入られた男と女の恋を哀感たっぷりに浮き彫りにしている。
“男”には『暗殺の森』('70) の名優ジャン=ルイ・トランティニャン。“女”にはジャック・ドゥミ監督の処女作『ローラ』('60)で脚光を浴びたアヌーク・エーメ。慎ましさの中に成 熟した女性の色香を漂わせる。映像とサントラ、そして名演がみごとにシンクロした珠玉のラブストーリーは、いま見ても新鮮な衝撃と感動を与えてくれる。
上映作品によりタイムテーブルが異なりますので、週により開館・閉館時間は異なります。