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Spectee村上さん講演 ~前編:AIアナウンサー開発 真のねらい~

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2018年6月21日の「躍動する企業人」第2回、Spectee代表 村上さんの講演のメモを前後編にわたってご紹介いたします。
今回は前編です。

・Specteeが目指している情報革命
・AIアナウンサー「荒木ゆい」の真の狙い

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講演のはじめに

SNSには1日に数億件もの投稿がされています。
そこから情報を探そうとしても、人の目では見落としもあり、そもそも追いつかない。
そこでニュース性の高い情報をAIで抽出するサービスを行っているのがSpectee(スペクティ)です。

このSpecteeは報道機関向けのサービスとして提供しています。
SNSにアップされた目撃情報がリアルタイムに配信されてくるので、それを見て取材に向かうことができる。

本日来られている方は、僕の直接のお客様ということでもないと思いますので(笑)
サービスを売りこむよりも、世の中がどうなっていこうとしているのかとか、新規事業をやろうとしている人に示唆になることをお話したいと思います。

SNS速報サービスにAIを使う理由

みなさんもニュースで「視聴者映像」というものをよく見るようになったと思います。
記者が駆け付けるよりも、先に現場にいる一般の人から情報が上がってくる。
これを報道に使っていこうという動きがあります。

SNSの情報を報道に使おうという動きは、以前にもあったものです。
2015年、NHKはSNSを人の目で見て検出しようというチームを作っていました。
しかし、キーワードで検索してもニュースに使えるような画像は上がってこない。

SNSへの1日の投稿は、ツイッターだけで5億ツイートもあると言われています。
最近はインスタグラム投稿も増えてきているし、YouTube、Facebookなどでキーワード検索してもうまくヒットせず限界がある。

そこでディープラーニングを使って、情報を抽出するサービスを立ち上げました。
報道機関はSNSで情報を探さなくてもよい、こちらから配信される情報のなかから使えるものを使ってくださいというサービスになっています。

スタートアップでは珍しいけれど、起業当初からできるだけ技術は特許化していこうとしています。
現在、AIの特許7件を持っています。

Specteeでは、SNSに上がってきた動画を解析して、
何が写っているのか?何のニュースか?
写っているものは?どこの映像か?
何分(時間)くらいの動画か?
こうした映像の分類と重要度の判断を行っています。
人力ではかなり大変だけれど、コンピュータであれば瞬時にできてしまう。
さらには、それが本物の映像なのかも最近は判断するようにしている。フェイクニュース対策です。

大手からローカルまで、130社以上の報道機関に導入していただいています。
導入していただいている理由は、とにかく早いから。
以前は警察無線をずっと聞いているようなことをしていたといいます。
見やすく、早く、読み上げもしてくれるのが導入の理由になっています。

(情報の速さについて)パリでのテロ事件について、AP通信よりもロイターよりも先にSpecteeから速報が上がってきて驚いたと言われた。(日本テレビ・O氏)
上がってくるものは現場のSNSユーザが撮影したものだから、リアルの映像です。

サービスの海外展開戦略と目標

現在、全体の売上の2割くらいが海外。
来年は5割くらいを海外にしたいと思っています。

海外向けは売り方をすこし工夫してやっています。
ビジネスモデルの話になります。
日本:月額制
地域によってちょっと配信内容と額は変えています。
都市部で投稿数が多い地域は高めに、投稿数の少ない地域は安めになっています。
国内映像については、勝手に使うと炎上する。だから9割くらいはユーザ許可を取っています。

海外:従量制
海外に売ろうとしても、販路がない。
だから、ダッシュボードをとにかく使ってもらうことを優先しています。
海外映像はあらかじめ権利処理を行っているので、実は速報性は劣るが、すぐに使える映像を即座に提供している。
映像はSpecteeが確認を取って、信頼性を高めるようにしています。

AIによるニュース配信の自動化

ニュースの流れは 収集・覚知→記事化→配信・読み上げ。
ニュースのいろんなところをAI化していこうとしています。
収集・覚知するところをAI化したのがSNS速報サービス。
読み上げのところもAI化したのが荒木ゆい。
また、あまり知られていないが、記事作成もAI化し始めた。動画から得られる情報を識別して、自動で記事ライティングを行っています。
もちろん動画から得られない情報もある。「(火事の現場が)木造2階建て約55平方メートル」・・・とか。この辺りは、空欄にしておき、取材で埋めてもらうことにしています。

AIアナウンサー「荒木ゆい」には、本物のアナウンサーのしゃべり方を10万件くらい学習させています。
どこに間を開けるのか、どんなアクセントで読むのか、そうしたところを学習させている。
アレクサと荒木ゆいでは、相当に読み上げの自然さが違う。
AWSのアカウントを持っている人はやってみるとわかるが、まだ結構ひどいです。

情報を収集して、記事にして、読み上げまでさせると、ニュース制作が一気通貫になってくる。
(テレビ番組での荒木ゆいデモンストレーション映像)
サラッと読み上げているように見えるが、実はすごいことをしている。
「日本橋」「十分」など、同じ漢字を文脈に応じてきちんと読み分けたりすることは、アレクサでは絶対にできない。

AIアナウンサー「荒木ゆい」の真のねらい

荒木ゆいでどうやって稼ぐんですか?と聞かれることがある。
番組に出たりしているので、アナウンサーとしての収入もちょっと入ってきているが、AIアナウンサーを作ることが真の目的ではない。

クルマに音声アシスタントを搭載することが将来的に見えてきている。
この時に話す音の質がすごく大事になってくる。
僕らは、この時に使える技術を開発しようとしている。
音声インターフェースがこれから増えてくるという予想のもと、そのための技術を開発している。
日本語に関してはSpecteeが一番だと思っている。

文字はまず読まなければならない。
動画は見ていなければならない。
音声だけは聞きながら他のことができる。

ラジオを聴く人はわかると思うけど、ラジオはながら視聴が可能です。
うちのオフィスにもアレクサがいるけど、話しかけるのはやってみると便利。

今アレクサのスキルの開発をやっていて、もうそろそろ出る。
アレクサで荒木ゆいと会話することができるようになります。

後編に続きます)---

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