【早稲田松竹】8/17(土)~8/23(金) 上映『ルイジアナ物語』『モアナ 南海の歓喜 サウンド版』『アラン』『極北のナヌーク』 +特別レイトショー『リュミエール!』
早稲田松竹クラシックスvol.153/ロバート・フラハティ監督特集 +特別レイトショー『リュミエール!』
ルイジアナ物語 Louisiana Story
ドキュメンタリー映画の巨匠フラハティが描く少年の冒険譚
ルイジアナの広大な湿地に両親と住む少年アレクサンダー。自然と野生動物に囲まれた彼の生活は、ある日、父親が油田掘削の許可書にサインしたことで大きく変わる。ほどなく始まった掘削作業に彼は魅了されていき、作業員との和やかな交流が生まれる。しかし突如トラブルにより掘削は中止の危機に陥ってしまう…。
もともとは石油会社のPR映画だったが、世界映画史に残る傑作となったロバート・フラハティ監督による物語映画。
ルイジアナの広大な湿地に住む少年が油田掘削に魅せられていく様子を描く。随所で川から顔をだす獰猛なワニ、少年と友達のようなアライグマ、そして闇夜にそびえたつ油田やぐらなどがリアルでありながら、どこかファンタジックに見える。迫力満点の油田掘削やワニと少年の戦いも見どころのひとつ。
本作はアカデミー賞原案賞にもノミネートされ、音楽を担当したヴァージル・トムソンは本作でピューリッツァー賞を受賞。1994年にはアメリカ国立フィルム登録簿にも選ばれている。キャストは全くの無名で、主人公の少年は、ルイジアナでオーディションをして見つけてきた。また撮影はのちに著名なドキュメンタリー監督になるリチャード・リーコックが担当している。
モアナ 南海の歓喜 サウンド版 Moana with sound
■共同監督 フランシス・フラハティ/モニカ・フラハティ
■撮影 ロバート・フラハティ/デビッド・フラハティ
■録音 モニカ・フラハティ/リチャード・リーコック
ドキュメンタリーという言葉はこの映画からはじまった! 100年前の南の島、ある家族の物語
南太平洋サモア諸島で暮らすルペンガー家には、モアナという息子がいた。一家は、常食とするタロイモ採りに出かけ、イノシシの通る道に罠を仕掛ける。珊瑚礁の岸に寄せる波間に、丸木船に乗って採集に出かける。モアナと婚約者ファアンガセは、結婚式の準備のために踊り、モアナは、成人式の刺青をしてもらい、いよいよ村人の歌声とともに挙式の準備が整った。
ドキュメンタリーの始祖フラハティがカメラに収めた南の島の暮らし。“ドキュメンタリー”という言葉は、1926年の本作公開時に、新聞の映画評で使われたことが起源とされている。無声だった作品に1980年、娘のモニカ・フラハティ監督が現地の人々による本物の音や会話、民謡を録音し付け加えた。さらに2014年に施された最新のデジタル技術により瑞々しく蘇った。
大自然のなかにあった、踊りと音楽にあふれた人々の暮らし――『モアナ 南海の歓喜』は圧倒的な映像で生きることの美しさと人間が持っている本来の輝きを見せてくれる。
アラン Man of Aran
岩を噛む波、荒れ狂う海、大自然のパワーと闘う人々。真実の魅惑、長編ドキュメンタリーの至宝。
アイルランド西岸の荒涼たる孤島アランは、岩だらけで木も土もない。ここに生きる人々は過酷な環境に不屈の精神力で立ち向かい、生命のある限り闘いつづける。
ロバート・フラハティ監督による芸術的ドキュメンタリー映画の最高峰。ある3人家族を中心に、厳しい環境の中で暮らすアラン島民の過酷な生活を撮影。描かれる自然や人々の表情の美しさが感動を呼ぶ。
極北のナヌーク Nanook of the North
イヌイット一家、大自然の中でのたくましい暮らし――1922年、記録映画の原点
カナダ北部の極地。雪と氷の大平原を背景に、カヌーでの移動、セイウチやアザラシ漁、毛皮を売る姿、住居を氷や雪で作る様子など極地のイヌイット族一家の暮らしと、生きるために苛酷な自然と闘っていく様を迫真せまる映像で描く。
『極北の怪異』のタイトルでも知られるドキュメンタリー映画の先駆的作品で、その後の映像ドキュメンタリー作家に多大な影響を与えた「記録映画」の大傑作。探検家、人類学者でイヌイットを生涯にわたるテーマとしていたロバート・フラハティの名を一躍有名にした作品でもある。 デジタルリマスター・音楽付きサイレント版にて上映。
【特別レイトショー】リュミエール!【Late Show】Lumière!
4Kデジタルで蘇る<映画のはじまり>。 リュミエール兄弟が世界で初めて上映した映画の撮影秘話、そして今も変わらない生き生きとした人々の姿、人間賛歌にあふれる映画の原点がここに!
1895 年12月28日パリ。フランスのルイ&オーギュスト・リュミエール兄弟が発明した“シネマトグラフ”で撮影された映画、工場から出てくる人々を撮影した有 名な『工場の出口』が世界で初めて有料上映された。全長17m、幅35mmのフィルム、1本約50秒、現在の映画の原点ともなる演出、移動撮影、トリック 撮影、リメイクなど多くの撮影技術を駆使した作品は、その当時の世界中の人々を驚かせ興奮させた。そして、そこに描かれているのは、あの頃から現代に至る まで変わりのない人々の生きる姿…。
本作は、1895年から1905年の10年間にリュミエール兄弟により製作された1422本の中から、カンヌ国際映画祭総代表、リヨンのリュミエール研究 所のディレクターを務めるティエリー・フレモー氏が選んだ108本から構成され、リュミエール兄弟にオマージュを捧げた珠玉の90分である。映像は4Kデ ジタルで修復され、フレモー氏が自ら解説ナレーションを担当。映画を愛してやまない全ての人に贈る奇跡の映像の数々が、きっとあなたを124年前の世界の 旅へと誘うだろう。
<入場料> 1,300円(大人)/1,100円(学生)/800円(ラスト1本)など